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向井がその噂を調べていくうちにわかったことが幾つかある。
まずひとつは一人の犯行ではないということ。夜逃げした花魁が囲われていたのは都の遊郭街の中でも警備が厳重で逃げ出すことは難しいとされていた店で、花魁は数人の男たちが騒ぎを起こしていた間に逃げたらしい。
また、相手の男のほうだが持っていた武器は右手に銃を、そして左手には鉤爪を付けていたという事だった。…金内が使っていた鉤爪と同じ深紅のものだったという。
向井はその男が金内だったとして、どうしたかったという目的はなかった。元の自警団に戻すつもりもない。ただ、どうして自分を置いて独りにしてしまったのかということが聞きたかった。
向井は諜報で知り合いになった情報屋を使って徹底的にその噂を調べた。
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作者名：さすけん | 作成日時：2020年7月25日 14時
