雪は舞って闇に咲く参 (ページ3)

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仕事のあとの観光についてはしゃいで語っている佐久間たちに背を向けて深澤は資料を持って自室に入っていった。

コンコンッと深澤の部屋の扉が叩かれキィ…と音を立てて開いた。
そこに居たのは

岩｢ねぇふっか、今いい？｣

岩本だった。

深｢っふ、いつもなんにも言わずに入ってくるじゃん。いいよ入って。｣

どうしたの、なんて聞きながら深澤には岩本が控えめに部屋を訪ねてきた理由もわかっていた。

岩｢さっきの指令のことなんだけど…大丈夫？｣

深｢え？｣

ああやっぱり、心の中ではそう思いながら深澤はその真反対の反応を表現した。

岩｢いや、なんか…ふっかの口数が少なかったって言うか、なんとなく変だった気がしたから…｣

深｢ふふ、なんだよそれ笑気の所為じゃない？まあ確かに浪速着いたら色々食いてぇなとは思ってたけど笑｣

岩｢なんだよそれ笑まぁいいや、そんだけだからさ。｣

そう言いながら岩本は部屋を出ていった。

岩｢何でも一人で抱え込みすぎなんだよ、うちの隊長様はよ…｣

岩本が部屋を出る直前に呟いたその言葉に聞こえないふりをした。

岩本が部屋を出たあと、深澤は咥えた煙草に火をつけた。

深｢美雪…｣

口の中で転がした愛しい人の名前は煙とともにふわりと消えていった。