二人静は月光に白む ページ2
渡｢は？お嬢様の護衛？｣
珍しく夜一ではなく滝沢組に加入した子供たちの一人である黒田が持ってきた指令書の報告を阿部が隊員たちに行った。
指令書の内容はある商人のお嬢様の護衛。関西の貴族の元へ嫁入りをするのでその道中を警護するようにとの事だった。
彼女の名は、志田野美雪。
目｢けどなんで俺らなんですかね？護衛程度なら軍の人間でもできるんじゃないですか？｣
佐｢んーそうなんだよね。なんでわざわざ居ないはずの俺らが？っていうのはあるよね｣
阿｢たぶん依頼書の二枚目に書いてあることが理由だと思うよ｣
宮｢…なるほど、この女性狙われてるんだね｣
阿｢そう、何回も襲撃にあってるみたい。…まぁ婚約相手が相手だからね。関西だから康二も知ってるんじゃない？｣
向｢この三井って人？名前は聞いたことあるかなぁ。｣
宮｢なるほどね、三井雅弘か。｣
阿｢そう、やっぱ舘さんは知ってたか｣
宮｢何度か見掛けたことはあるよ。子供の頃だけど。｣
阿｢そう、今回の対象の志田野美雪の婚約者は三井雅弘。王家の人間だよ。まぁ王位継承権は二十番目とかで現国王の従兄弟の孫だから王座には遠い人間ではあるんだけど、それでも志田野家にとっては素晴らしい婚約だろうね。王家と繋がりが持てるんだから。
彼女と三井は生まれた頃から婚約関係にあったらしいよ。｣
岩｢だから今回軍が動くのか｣
ラ｢え？｣
岩｢ただの嫁入りだったら一国の軍なんて動かせないだろ？けど今回は違う。相手が王家だし確かこの志田野家って多額の税を納めてたはずだよ。だから護衛要請を受けざるを得なかった。それが俺らに回ってきたってことは…｣
目｢内部にこの人を襲ってる奴らと通じてる者がいる？｣
阿｢その可能性は高いね。商人の娘と王家の婚約なんて嫌がる人多いだろうしね｣
深｢…よし、じゃあ出発は明後日の昼だからそれまでに各自それぞれ用意しといてね。浪花は遠いから二日かけて行くからね。宿は取ってあるって。
で、滝沢くんから向こうに送り届けたあと二日観光していいって書いてあるから美味しいものでも食べて休もっか。康二に色々案内してもらってさ。
よし、解散！｣
佐｢観光だって！何する！？｣
向｢やっぱ浪花といえば粉もんやな！イカ焼きとかも美味しいけどな！｣
ラ｢浪花僕行ったことないー！｣
向｢お、そやったらな…｣
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作者名：さすけん | 作成日時：2020年7月25日 14時
