雪は舞って闇に咲く

＊ ページ24

ラウールは海を越えた遥か西の国から来た貿易商と町の踊り子の間に生まれた子だった。

貿易商は暫く街に滞在したあと、女を捨てて自国に戻ってしまった。

1人で育てられなくなった女はあろうことか人身売買の業者にラウールを売ってしまったのだ。


ラウールは西洋の血が混じったその見た目から、珍しいとして観賞用に金持ちに高値で引き取られた。

初めのうちはまだマシだった。買い取った先の主人は服も着せてくれたし、食事も与えられた。自由にこそならなかったが、我慢はできた。


しかし、その待遇はそう長くは続かなかった。

主人が亡くなり、一人息子が跡を継いだのだった。


そうなると、それまでの待遇とはうって変わり、食事も一日に一回だけ、それも食事とは言えないような粗末なもので、ラウールはストレス発散とばかりに鞭で叩かれた。

ラウールはやせ細り頬が痩け、身体は傷だらけだった。



そんな時、屋敷に目黒たちがやってきた。

ラウールを散々いじめ倒した男はその性格から色々な方面に敵を作っていた。その敵の一人が目黒組に男の暗殺を依頼したのだった。

目黒はその下調べの際に屋敷に使用人として忍び込んだ。
その時に見たのが、骨と皮ほどに痩せた少年が鞭で打たれているところだったのだ。
焦った目黒は直ぐに他の仲間たちに連絡し、その晩暗殺は決行された。


目黒はどうしてもラウールを放っておけなかった。普段ならそんなことは無いのだが、この少年だけは守りたいと思った。

だから、少年を目黒組に連れて帰ったのだ。

＊→←白狐は月夜に化ける

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す