雪は舞って闇に咲く 肆

＊ ページ33

佐｢んん？どういうこと？｣

阿｢だから、舘さんのお父さんは自分で水銀を服毒して体調を崩したってこと｣


やっと九人が揃った居間では阿部による解説が行われていた。



佐｢けどそれって一歩間違ったら死んじゃうんじゃないの？｣

向｢まぁ水銀って調整しやすいからなぁ｣

ラ｢そうなの？｣

向｢昔お偉いさんをどうしても病死に見せたい時にやったことあるで。あんまりやりすぎると水銀ってばれるからそこを上手い事調節すんねん｣

ラ｢へ、へぇ…｣


宮｢まぁ父は、ってあの人のことを父親だとは思っていないけどあの人は平気でそういうことをする人だと思うよ｣

渡｢同感だわ｣

帰ってきてから片時も宮舘の傍を離れない渡辺が同意する。

阿｢てゆうかそうじゃないと毒味もなしであの量の水銀を体に入れられるわけがないしね。いくら嫁でもそれは出来ないはずだよ。｣

佐｢じゃああの女もぐるってこと？｣

阿｢いや、あの人も騙されてたんじゃないかな。誰か、多分あの杉田って人に毎日この量を飲ませたら病死に見せられて実権が握れる、みたいなことを言われたんだと思うよ。｣

目｢でもじゃあなんで舘さん捕まえたんすかね？｣

岩｢実の息子が出てきたら家督譲らねぇといけねえからだろ。基本的に当主は男って決まってるしな｣

阿｢多分照の言う通りだと思うよ。まぁそれを唆したのもあのおっさんだろうけどね｣

ラ｢けど舘さんを捕まえてからどうするつもりだったんだろう。自分は死ぬぎりぎりな訳でしょ。そこからは？｣

宮｢あの人のことだから奇跡の生還、みたいなことを演出してから隠居、俺をあのまま閉じ込めたまま自分が実権を握るつもりだったんじゃない？｣

ラ｢女の人は？｣

宮｢まぁ殺されてただろうね｣

向｢にしてもふっかさんよかったん？あのままほっといて｣

深｢んーまぁほんとは駄目っていうか嫌なんだけどね。上からの指示がねぇ｣

深澤は頭をかいた。


阿｢まぁ今ここで有力貴族を潰すと均衡が崩れるって目論見なんだろうけどね｣

＊→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す