SLHの短編集。

余裕［YUMA］ ページ48

自分の部屋からリビングに行くと、話し声が聞こえた。Aしかいないはずなのに。



「へぇ…そうなの？うん、確かに。ふふ」



なるほど、電話をしてるのか。じゃあ静かにしとこ、とキッチンでコーヒーを淹れ、スマホを眺めていた。





スマホを眺めて数十分。流石に長すぎないか。いや友達との電話は楽しいんだろうけど。


ここまで気にしてるのには理由がある。なんと、時折電話の向こうから聞こえる声は男の声。逆にそれで気にならない訳なくない？



さっきからスマホ眺めてるように持ってるけど実質ほぼ見てないのと同じだし、なんなら淹れたコーヒーにも手が伸びないからコーヒー冷めちゃったよ？いつまで電話してんのA。ゆまさんヤキモチやいちゃう。

…なんて独り言を伝えるつもりは一切ないけど。




不意にAがスマホを耳から離した。お、やっと電話終わったかな。


「…長電話しちゃってごめんね！うるさかった…？」

「いや、別に大丈夫だったよ？誰だったん、電話の相手」

「まりんくん！アナタシアの！」



できるだけ自然に見えるように尋ねたら、意外な答えが返ってきた。いつの間に知り合ったん？


…ん？なんか、Aが何か言いたげ。


「…どしたん？」

「いや、ゆまさんが電話の相手きいてくるの珍しいから……その、ヤキモチ、かなって…」



うわーーーーー図星。でも表情は変えずに微笑んだままにする。



「…別にそんなんとちゃうよ？Aが俺以外見るわけない、てか見させないから。…そんな余裕、与えないし」




くしゃりと頭を撫でてやる。Aはいつものように眉尻を下げて笑った。






後日、居酒屋にて。

「……って事があったんよ！ねぇーーカラス聞いとるー!?」

「うわゆうまくん酔っぱらいやん。聞いとる聞いとる。てかそんなに内心穏やかじゃないなら素直に伝えたらいいんとちゃう？」

「それは嫌なのー！Aの前では大人の余裕かましていたいのー！」

「ワガママか！」


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大人の余裕かましてるゆまさん大好きだけど見栄張ってたらかわいいな、ってやつ。これにて「彼の嫉妬編」おしまい。





そういえば！！紅葉さんが！ご自身の小説で！私のこのSLHの短編集。を紹介してくださったんです！！本当にありがとうございます！！感謝を込めて土下座というか土下寝します！ハイふざけてすみません！ありがとうございました！！
　

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