天使の妹は [完結] (ページ41)

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メイクの筆の汚れが気になった
だから洗おうと思った
控え室から出るから手前にいる人に声をかけようと思った

『あ、チャンb……』

いきなり後ろから手を引かれたから肩が少し痛かった

そのまま引っ張られていく

『ちょっと！離してください！』
怒鳴っても、空いてる手でその人を叩いても
うんともすんとも言わなくて

『やだ！離して！』

どんどん恐怖心が込み上げてくる

後ろ姿だけじゃわかんないけど、この人見たことある気がする

『キャ！』
すぐ近くの空いてる部屋に投げ込まれて

[…やっと見つけた…]

部屋の電気が着いてないから顔がよく見えない
でも、声に聞き覚えがある
昔聞いたような声？

オッパの所のスタッフさん？

『…何の用ですか？』

私を見つけたからハニオッパに報告
そんなんじゃないよね？
それならこんな手荒なことしなくて良いもんね？

じゃあ、何が目的？

[いきなり居なくなるなんて、寂しいじゃん？]

『オッパの所のスタッフさんには挨拶しましたよ？』
[俺のところには来なかったよね？]
『…顔が見えないので、どなたかがまだ分からないのですが』

刺激しないように聞いてみる

[俺だよ？一緒に働いてたじゃん？あんなに好きだった相手、もう忘れたの？新しい男出来たら俺の事すぐ捨てるんだもんな…悪い女だ…]

あ、コイツヤバい奴だ←

好きだった相手？そんなのいないけど？
新しい男って誰のこと？まさかリノさん？

顔が見えなくてまだ思い出せてないけど、

[いつもいつも何か邪魔してくると思ったら…いきなり目の前から消えて、久しぶりに見たら…いい顔してるね…]

彼が近づいてきた
私の顔に手がかかる
目の前に彼の顔が来たから目をそらさなかった
逸らしたら負けな気がしたから

『オッパの所の…舞台スタッフさん？』
[覚えてくれてたんだ？]

いや、何となくだけどね？←
そんな大して関わりのない人なんて知らんて
メイク直しの舞台袖で近くにいたな、位の記憶だって

『で、私に何の用ですか？私、仕事中なんですけど』

刺激したらやばいと思うけど、
仕事中にこんなことされたら腹立つよね？
ムカムカするの、抑えられないんだけど？

[久しぶりに会えたのにそんなこと言うなって、愛を確かめよう？]

『は？愛？そんなの無いけど』

何を言ってるんだこの人

バチン！！

次の瞬間には私の頬に強い衝撃が来て、
身体がその衝撃の勢いで横に倒れた

[俺と愛し合ってただろ]

私に馬乗りになる男に、本格的に身の危険を感じた