story 10 ページ10
『っ…!』
私は自分の足と手を深く切り刻み、血を大量に出す。それを急いで操り大きく、頑丈な盾を造り、弾を防いだ。
手元には装着していたナイフがしっかりと握られている。
…この男は私が殺さなくてはならない、と、本能が言ってる気がした。
私は盾を剣に変え、大男を挟み込む。床に広がる血が蠢き、相手を貫いた。
私は、人を、殺した。
────ころ、した。
脹脛からは大量の血が出ており、足元には血が広がっている。茶色の革靴は少量の血が付着していた。
「A…っ!」
『銀、さん…』
ポタポタと垂れる血、私の腕を軽く掴み、銀さんは云った。
「こんな、怪我して…!」
『ご、御免なさい』
大きな声にビクリと肩を竦める、銀さんはそっと手を離した。
「取り敢えず、帰って手当を───」
広津さんと立原さんがドアの方角を見て、目を見開いた。
思わず振り返ると、そこには────
『探偵社、の皆さ…』
国木田さん、敦さん、太宰さん、谷崎さん。
「A…如何、して」
「これが君の選んだ道かい?Aちゃん」
『だざっ……ち、ちが』
自然と涙が溢れた、見られてはいけないものを見られた気がして。
違くない、何が違うんだ、私は殺した。マフィアに居る道を選んだ。
────私は、光に戻っちゃいけないんだ。
『あ──』
私はパタリとその場に倒れた。
.
立原の腕の中で、嵩は涙を流しながら気絶している。
力が完璧に抜け、全ての体重を立原へと預けている状態だ。
「……我々はこれで失礼しよう」
広津は反対側のドアからそっと出ていく。
「ま、待て!」
「あ゛?」
立原は敦を睨みつける、敦は肩をすくめるも、口を開いた。
「Aちゃんを、返せ…!」
「此奴は俺たちポートマフィアのもの、そして今は黒蜥蜴のものだ」
「……ものなんかじゃ、ない。」
彼女はものじゃない、人だ。れっきとした人間だ。
彼女は敦に微笑んだ。
“どんな孤児だろうが、何だろうが…皆、愛される権利は有るんだよ”
彼女の笑顔が、言葉が、脳裏にこびり付いて離れない。
彼女は
そう敦は思っている、確信しているのだ。
「悪いが、今はこんな状態だ。話はまた今度にでもしてくれ。」
今度があるか分んねェがな、と立原は意地悪く云った。
黒蜥蜴は出ていく。
敦達探偵社は───それを追いかけることが出来なかった。
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ありす(プロフ) - 蜥蜴さん» ありがとうございます!直哉さんと花圃ちゃんは個人的にもとても気に入っているキャラなので、好きと言っていただけて嬉しいです!!これからも頑張りますので、どうぞよろしくお願い致します(><) (2017年8月10日 7時) (レス) id: 85385fe888 (このIDを非表示/違反報告)
蜥蜴 - 完結おめでとうございます!物凄い良い話ですね!すごく感動しました(´;Д;`)個人的に直哉さんと花圃ちゃんのキャラがが大好きです!これからも頑張ってください!! (2017年8月10日 5時) (レス) id: 6c6bafb637 (このIDを非表示/違反報告)
ありす(プロフ) - 蚊さん» ありがとうございます!いい話なんて…照れます、感動していただいて幸いです^ ^ (2017年7月31日 20時) (レス) id: 85385fe888 (このIDを非表示/違反報告)
蚊 - いい話ですね!!!感動しました!!完結おめでとうございます! (2017年7月31日 18時) (レス) id: 246313809f (このIDを非表示/違反報告)
杞乃葉(プロフ) - 完結おめでとうございます! (2017年7月27日 18時) (携帯から) (レス) id: 7b1e765a3f (このIDを非表示/違反報告)
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