あなたのココロ、盗みます。【赤羽業】 (ページ14)

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『この辺…見た事あるなぁ』

「怪盗業で何回か入ったことはるとかじゃないの？」

『う～む…命の危険がある所には行かない主義なのですが』

あたしは頬に手を当てて悩み始める

「ホラ渚くん！男でしょ！ちゃんと前に立って守らないと！」

「無理…前に立つとか絶対無理、てか羽元さん強いじゃん…」

「Aちゃんは女の子だよ！」

小声で話し始めるふたり

ポン、と肩に手がおかれた

渚くんがナンパされたのだ

『面白い展開だネ～』

「よぉ、そこのお嬢ちゃん」

『！』

"聞き覚え"のある声

急いで振り返る

「元気にしてるか？A」

『……有里、おにい、ちゃん……？』

ただただ呆然と立ちすくむだけだった

それしか出来なかった

目の前には憎たらしい相手がいる

今直ぐ殺してやりたい、殺意がふつふつと湧き上がる

『なんで……お前がのうのうと生きて……ｯ』

「そう睨むなよ、A」

『名前を呼ばないで、汚らわしいわ』

「A、ちゃん…？」

一変した態度に皆が驚く

『みんなは先行ってて、ちょっとコイツと話があるから』

コクリとうなずく皆。

あとは何かあっても、桃花(トーカ)の接待術・交渉術で何とかするだろう

.

『……ここだと場所が悪いね』

「おいおい、俺に何する気だ？」

『出来ればここで息絶えてほしいかな』

伊之(いの) 有里(ゆうり)

あたしの従兄弟のお兄ちゃんだ

それと同時に＿＿＿＿＿＿＿あたしのお姉ちゃんを殺した犯人でもある。

「お前の言った通り、ここだと場所が悪い。
だから屋上で会おう」

『へぇ……あたしが上り詰めろってこと？

仲間と？』

「別に一人でもいいけど、ボスがいるから勝てるかどうか」

『あたし、ボスとか薬とか興味無いのよネ』

「お仲間がやられてるんだろ？随分、冷たいな」

そこであたしはハッとする

そうだ、みんなの目的とあたしの目的はすれ違いつつある

『あたしは……ここ3年間、あんたを探し続けてたんだよ』

「へぇ…そうなの」

『あんたのこと、おにいちゃんなんて呼んでたのが恥ずかしいよ。
……それじゃあまた』

丁度メグたちが迎えに来た

あたしは急いで駆け寄る

「何の話してたの？」

『ん～……不吉な話？』