【d!】琥珀のメシア【現在更新停止中】 (ページ12)

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１０話ページ12

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そこで確かめる為に、隣にいる鬱にAは震える声で

『鬱さん、私の右目って.....み、見えない...んですか...？』

こう問いかけた。すると驚いた様子で、しかし鬱はAの疑問に答えてくれた

ut「....ほんまにどないしたん？
まあ....うん、そうやね。Aちゃんの右目は2年前に......。

ってあれ、今日は眼帯付けてないんやね」

『え、が、眼帯.....？』

ut「そういえば前に気分で義眼か眼帯か変えるって言ってたしね。じゃあ今日は義眼ってことや」

鬱はAの右目に少しかかった前髪を手であげて、鬱曰く義眼であるその目をじっくりと見つめる

義眼

その言葉が引っかかる

義眼とは、眼病・事故などのため眼球を取り去ったあとに入れる人工の眼球である。

その使用上の注意としては、必ず寝る前に外さなくてはならない。

しかし、Aが朝、鏡を見た時は特に違和感はなかった。鏡に映る人物はオッドアイの自分だった。左目が緑で右目が琥珀の。

いや、確かに、洗面所の所に琥珀色の半球状の眼球を二つ見た。あれは人形のものだと思っていたが....。

じゃあ今私の右目にあるものは何だというのか。

見えてはいないが、本物の、眼球？

ut「Aちゃん、ほんまに大丈夫？」

鬱の言葉に思考の海に沈んでいた意識が戻された

『っ.....ううん。
ごめんなさい、いきなり変なこと聞いてしまって。』

ut「.......大丈夫やで、心配せんといて！
さ、早よ席つこか！」

先程の心配そうな、不安そうな表情が嘘のように明るく笑った鬱に背中を押されみんなが囲んで座っている机へと向かった。

os「Aちゃーん！こっちこっち！そんな淫魔獣の隣座らんとこっちおいで！」

ut「ちょ、マンちゃん！？？？？もうちょっとオブラートに包んだ言い方とか出来ひんの！？」

tn「否定せーへんのかい！」

可愛い笑顔でAを呼んだオスマン。

さっきまでの渦巻いた気持ちが吹き飛ぶ程に安心するその笑顔に釣られて、自らも表情を緩める。

そんなAを見て鬱は密かに安心する。

全員が席についたのを確認したグルッペンの言葉で食事は始まるのであった