Dal _194 ページ44
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桜の季節だとか言う春にはうってつけの様に、綺麗な桜色をした薄いピンクと、春空の何とも言えない様な青と。緑だったり白だったり。
今見てる景色には沢山の色があって、心地好い風にも色が見えてしまう様で気持ちがいい。
いつか行った公園に
膝には和さんがいて
隣には好きな子が隣にいて
繋いで絡んだ指は細いからギュッと絡めた。肩同士は不仲の様に離れてるから、心地好い程の緩やかな春風と一緒に、僕は肩に頭を乗せた。
ジス「ふふ笑かわい」
「春のせい」
ジス「春?笑」
「うん」
全ては春のせい。この公園に来たのも、膝に乗った和さんがうたた寝するのも。指を絡めて握る手も、肩が不仲の様に離れてるから、頭を乗せたのも。
本当は分かっている
だけど僕は秘密にする
何て、こんな春に乗せて何を秘密にしてるのか、自分でも分からないものを隠して、変な歌詞を作ってみる。
何を分かっているのかな。何を秘密にしてるのかな。彼女に話せない様ななにかなのかな、それとも、家族かメンバーか。それとも、友達かな。
でも、まだもう少しだけ
「ジスさん」
ジス「ん?」
「ジスヤ」
ジス「ふふ笑なに?」
「ぬなぁ」
ジス「はーい笑」
【ジスちゃん】
ジス【Aくん?笑】
「ふふ笑」
ジス「風が気持ちいいねぇ」
「ね」
ジス「A」
「ん?」
ジス「好きよ」
「僕も好きだよ」
好き
どうしようもなく、好き。そんな言葉を沢山口に出せば笑ってくれるかな。僕もジスさんも、お仕事が順調に落ち着いたら何処へ行こうか。息抜きに一緒に海外へ行くのもいいな。何処かの川をゆったりと流れて行ってみたい。
春に吹く強い風は、春一番って言うんだって
悪戯の様に吹き付けた風は、いつもの綺麗に笑うジスさんの頭に何枚もの桜の花を乗せて行った。
悪戯が過ぎる風。まるで少女漫画かの様なシチュエーションじゃん。僕には似合わないけど、取り敢えず頭に着いた桜を取る。
ジス「強かったねぇ」
「春一番って言うんだよ」
ジス「Aはよく知ってるね」
「何かで聞いた事があった」
ジス「ふふ笑そうなんだ笑」
「意地悪」
ジス「え?」
「風が」
ジス「そうだねぇ…笑Aの頭にも乗ってる」
心臓に悪い
今またぎゅっとした。心臓が。春が嫌いになりそう。僕の誕生日がある季節だけど、好きな子との距離を近くして、こんなにも苦しくさせるから。
意地悪な風も、乗せて行った桜も、原因のジスさんも
嫌いになりそうなくらい好き
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作者名:RIKU | 作成日時:2022年8月16日 15時