Dal _181 ページ31
・
"「ユンギヒョン、誕生日おめでとう」"
ボイスレコーダーからは、少し幼く今より少し若いAの声が録音されていた。
今年も色んなプレゼントを貰った。ブランドの物から、機材に必要な欲しくて買おうと思っていたものまで。それでも、Aみたいなボイスレコーダーを貰ったのは初めてで、いつもより誰よりも1番最初におめでとうと言われて、誰よりも1番最後にプレゼントを貰った。
そんなプレゼントには、きっと今も思ってる様な言葉がつらつらと聞こえて、だけど周りのガヤガヤとした声に声が埋もれてしまって、耳に近づかなければ聞こえてきたその言葉こそ、1番伝えたかった事なんだろうなって、まさかの策略に乗ってしまったことを後悔する。
"「ありがとう」"
その言葉だけで、なんの事かははっきりと分かる
その言葉を聞くだけに、態々耳に近付けたレコーダーを、つい反射的に一時停止ボタンを押してしまった。
Aは、凄くずるい
ずるくて、深い沼底で。だけど、昔よりも思うのは、言葉に出すのを諦める事が無くなった事位かな。俺こそ、俺の方こそ、だ。
ありがとう、グループにいてくれて
ありがとう、俺と出会ってくれて
Aのお陰な事が沢山あるし、メンバーのお陰でな事も、沢山ある。だから、このボイスレコーダーを聞いて、直ぐに電話をかけた。その声が聞きたくて、今の声が聞きたくて。今の声で、何でもいいから何かの言葉が聞きたい衝動に駆られた。
電話を掛ければ、何故かジョングクが出た。お前なんでそこにいんだ。
SG「Aは?」
"JK「ヒョンですか?ちょっと待ってくださいねー。
ヒョーン!!」"
SG「声がでかいって…笑」
"「もしもし」"
SG「プレゼント、ありがとな」
"「ふふ笑若かりし頃の僕らの声ですよ」"
SG「後ろ?」
"「はい笑」"
"坂口【若い声?俺も聞きたい】"
SG「けんたろーさんもいるの?何、おじいさん達の家?」
"「違いますよ。普通にホテルにいます」"
SG「あーね」
"「ヒョン」"
SG「ん?」
"「ふふっ笑」"
SG「何だよ笑」
"「ボラへ」"
SG「ふはっ笑分かんね笑
でも、ありがとう。Aもボラへ笑」
Aのその、ゆったりとした声はいつだって変わらない
…そう言えば、Aって自己肯定感の高低さって皆無な気がする。根っからのネガティブな癖に、自分なんてみたいな言葉はあまり口にしないし。その癖誰かの自己肯定感の低い言葉を聞けば、割といい事を言うし…。
本当にネガティブな人間なのか疑う
・
291人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:RIKU | 作成日時:2022年8月16日 15時