♯33 数値化される愛 ページ38
…が、そのようなもの熟練者である智己さんには何の意味もない。
男はすぐにその場に組み伏せられた。
『…ターコイズブルー』
智己さんが男のPHYCHO-PASSを読み上げる。
‥まだ、大丈夫な段階だろう。
『あららー濁ってますねー。緊急セラピーを要するものと診断します。ご同行願いますね』
「え……そんな…俺まだ何も……っ」
逃げようとしてよく言うものだ。
「あ………!」
「放してくれよ!!ニューロン相性テストじゃ俺の方がいい判定が出たのに…!何だよあの女ッ!!」
「ふざけやがって…!ただじゃ済まさないからなッ!!」
男が叫んでいる方向には一組のカップルが。
恐らくあの女の人がこの人の元彼女なのだろう。
それで振られて八つ当たり…か。
「ねぇあなた?あなたは愛ってなんだと思う?」
ホロコスを解除して男に問う。
「な、なんだよ‥お前…!」
「いいから答えて。あなたにとっての愛って何?」
「そんなの…ニューロン相性テストが抜群の男女が交際することだろうが!それ以外に何がある!!」
あぁそうか…
この人は‥いや、今の世の中の多くの人達は愛とはどういうものなのか勘違いしている人が多いようだ。
「ううん。それは違う。愛とはお互いの事をよく知り、信頼しあう。それが形となったものを言うの」
「そ、それが…!」
「例えニューロン相性が悪くてもお互いの事を理解していればそこには必ず愛が生まれる」
「そんなの…知る‥」
「あなたが彼女に求めているのは愛ではなく、数値化された[何か]。彼女のことを知りもしないのにそんなことを言うのは…変じゃない?」
この人はただやり方を間違えているだけ。
ちゃんと冷静になって考えればきっと分かってくれるはず。
なのに…
「知るか知るか知るか!!!あんな男より俺の方が相性はいいんだ!早くあの女の所へ行かせろ!!!」
どうして皆目の前の[数値]しか見ないの…?
私の考え方がおかしいのかな…?
私と違ってあなたはまだ‥やり直せるのに…
「離せェェェ!!!」
彼のPHYCHO-PASSはその怒号と共により深く濁った。
もう、取り返しがつかない…
「嬢ちゃん!!」
「はい…ッ!」
智己さんが常守監視官にドミネーターを使用するよう指示を出す。
…けれど常守監視官はドローンの前まで来たところで立ち止まってしまった。
‥きっと昨日のことを考えているのだろう。
私が変わりにドミネーターを持ってこようとドローンに向かうと、とても見慣れた1人の男性が私の前を横切った。
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明里香(プロフ) - 34話、常森じゃなくて、常守です。 (2022年10月19日 6時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 33話、変わりにじゃなくて、代わりにです。 (2022年10月19日 6時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 30話、爆死じゃありません。ライターによる引火が原因なら焼死です。 (2022年10月18日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 29話、常森じゃなくて、常守です。 (2022年10月18日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 27話、常森じゃなくて、常守です。2箇所もあります。 (2022年10月18日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シロリス | 作成日時:2013年3月17日 22時