『PSYCHO-PASS』シビュラに見放された執行官

♯31　官用コスデバイス ページ36

「智己さん、エリアストレスの原核まだモール内に居ますよね？」

「そうだな。モールの出入り口は警報直後からドローンが監視してる。そっちに引っかかった獲物はナシ……」

これだけ大勢の人が居る中でそんな人を放置しとくのは怖いな…

「つまりここのエリアストレスを高めている張本人はまだモールの中に居る。霧原の嬢ちゃんの言う通りだな」

「……ドミネーター…使うんですか？」

私達の会話を聞いていた常守監視官が心配そうに訪ねてくる。

「用心のために運ばせはするが…まぁ抜くまでのことにはなるまいよ」

そう言って智己さんは官用コスデバイスに身を包んだ。

それに続くように私と常守監視官も全身に公安局のイメージキャラクターである[コミッサちゃん]へと姿を移した。

「おめぇはちょっくら透明になっといてくれや」

智己さんがドミネーターを運搬する機械に命令すると肉眼では認識出来ないレベルで透明になった。

……昔はこれが男の子の夢だったなんて信じられないな。

自分を自分として認識してもらえないのに…

「あーコミッサちゃんだー」

しばらく歩いていると可愛い女の子に声を掛けられた｡

なんとも微笑ましい光景だ。

…常守監視官はそうでもないみたいだが。

「落ち着きませんか常守監視官？私達くらいの世代になるとホロスーツで遊ぶのなんて慣れているでしよう？」

「全身アバターになりきるってのは…ちょっと……」

「公共の場ではフルフェイスのホロスーツは違法ですからね」

「でもこれだけ人が多いと一体誰が潜在犯なのか…」
　
‥この手の質問は苦手。

智己さん、パス。

常守監視官に聞こえないよう、小声でそう伝えた。

「おいおい‥ケダモノはケダモノの臭いを嗅ぎ当てる。良からぬことを考えてるヤツは一目見ただけでピンと来るもんさ」

常守監視官が呆気にとられた顔をしている。

…常守監視官はそういう顔をするのが趣味なのだろう？

ここ数日で何回見たことやら…‥

♯32　リンク→←♯30　解釈

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す