『PSYCHO-PASS』シビュラに見放された執行官

♯11　[すれ違い]　ある日の会話 ページ14

「昨日の常守朱監視官凄かったなぁ…」

午前のシフトには私と秀星さんと弥生さんの3人が当てられていた。

弥生さんはいつものように音楽関係の本を読んでいたが秀星さんはゲームばかりで少し飽きていたのだろう。

私が独り言のようにぼやいた言葉を返してくれた。

「あ〜確かにねぇ。初めての事件だったとしてもまさか撃つとはねぇ」

秀星さんも私と似たような事を考えているようだ。

「ねぇ一夜ちゃん、参考までに１つ聞いてもいいかな？」

「なんでしょうか？」

「朱ちゃんってさぁ監視官に向いてると思う？」

「へ…？それはどういう…」

「そのまんまの意味。昨日のアレを見たらオレは向いてないんじゃないかなーって」

実を言うとそれを考えなかったわけじゃない。

ただ…宜野座監視官と常森監視官。

２人の行動を考えるとどちらが正しいのか分からなくなっていた。

「私には…分かりません」

「分からない？」

「私、今まではドミネーターの指示に従って対象を制圧、排除することが正しい選択だと思っていました。でも…被害を最小限に留める為、正確かつ確実にドミネーターで彼女を撃った宜野座監視官。その危険を顧みず、彼女の事を第一に考えた常守監視官。どちらが正しい判断をしたのかが分からなくなって…」

これは間違いなく本心だ。

昨日の常守監視官の行動は私の考えの根底を崩すものだった。

「なるほどねぇ…そういう考えもありか」

秀星さんもある程度は納得したみたいだ。

「まぁどうせ今日の昼には朱ちゃんも勤務だし、その時ちょっと聞いてみよっと」

秀星さんが軽い悪戯心のように呟く。

…まぁ私も常守監視官の本心を聞いてみたいと思っていたから丁度いいだろう。

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