佰伍拾弍 ページ7
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ごめん、やられた
男連れてきやがった、あの人
二人も
今は一回トイレに避難してる
戻らないと余計絡まれるから適当に躱すけど、早めに迎えに来てくれると嬉しい
コールしてくれれば適当な理由つけて出てくから
ごめん、頼んだ。と最後に送信して用を足し、手を洗って深呼吸してからトイレを出た。
「……」
ねえ本当に戻りたくない帰りたい。
けどあのコートお気に入りだし……と迷いながらも取り敢えず足を動かして席に戻った。
「すみません戻りまし……
……た」
目の前の状況が信じ難く、「た」を絞り出すのにかなりの精神力を要した。
「……」
「あ、お隣失礼してますね〜」
何で私の隣にチャラ男(唇ピアス)がいる?
その向かいには元先輩とチャラ男(鼻ピアス)。
やべえじゃんもうこいつらのこと顔とか名前とかじゃなくてピアスの位置だけで認識したいくらい情報取り込みたくねえよ
何とか、会釈して空いている席に腰を下ろした。
廊下側なのが大不幸中の幸いと言えそうな気がしなくもなくもない。
「じゃあ、取り敢えず乾杯しようか!」
元先輩のやたらテンションの高い音頭で本当に取り敢えずグラスを掲げ、一口飲む。
届いてからやや時間が経ってるウーロンハイは、ぬるくなってるせいか妙な味がした。
自分の隣の鼻ピアス男とえらく楽しげに喋る元先輩を白い目で見ていると、私の横の男が話しかけてきた。
「ねえ、名前教えてよ。
アイツ、可愛い子がいるってだけで連れてきて君の名前も言わないんだもん」
「…………立原です」
橘くらいの誤魔化しは出来たかもしれないが、元先輩と呼び方が食い違った時に突っかかられるのがめんどくさい。
下の名前は絶対に言わない。
「え、下の名前は?」
「名前で呼ばれるの、あんま好きじゃないんで」
嘘だよばーか塾生でもある程度親しい子にはA先生って呼んでもらってるわ
「そんなこと言わないでさぁ〜」
うざぁ。
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作者名:camellia* | 作成日時:2023年10月1日 16時