第7話 ページ8
宴が中盤に差し掛かった頃。
『ふぅ･･････ひ、でよしさま、風に当たってきてもいいですか？』
(匂いだけで酔うなあ……お酒はまだ飲めないかあ、)
「ああ、良いよ！行ってらっしゃい」
秀吉様は、手を振りながら見送ってくれる。
熱く蒸気した頬を掌で撫でながら縁側への障子まで歩く。
すると、あんなに騒がしかった宴は途端に静かになった。
『(･･････？し、視線が痛い…ような？)』
そう思い、碧珠はちらり、と大広間を見ると、思わず『ひえっ』と声を出してしまった。
何故なら、豊臣軍の兵たちが碧珠を見据えていたから。
『(なになになになになんですか…！
こ、怖い･･････！)』
碧珠は流石に恐怖を感じて、一気に酔いが覚めたが、足早に意味もなく障子を開けて縁側へ出た。
「･･････可愛すぎる、でしょ」
秀吉は未だに障子を見ながら呟いた。
勿論、聞こえないくらいの小声で。
『ふ、ぅ･･････あ、お花咲いてる…！』
綺麗に庭の池に咲いている蓮の花を見つけて、嬉しそうに庭へ降りる碧珠。
池まで小走りで行くと、次は池の水面を見て新しい発見をする。
『わ…今日満月だ』
そう、水面に映るのは、綺麗な黄色い満月。
届きそうだな、と思って、届かないことを知っていながらも手を伸ばす。
ぴょんぴょん跳ねてみたり、背伸びもするがやはり届かないものは届かない。
諦めて池の近くにしゃがみ、蓮の花を見ながら独り言をこぼした。
『ん〜！･･･やっぱり、届かないかあ…。
･･････届いた場合、どうなるのかな。月ってどのくらい大きいんだろう…月が落ちてきたら豊臣領、潰れちゃうかな…や、やめよう…』
落ちてきたところを想像してしまい、みんなに申し訳なくなった。
蓮の花が月の光を受けて、綺麗に輝いている。
池の中には複数の鯉が泳いでいて、桃色の蓮の花に良く映える。
蓮の花を人差し指でちょこん、と触ると、蓮の花は嬉しそうに少し揺れ、その振動で水面も揺れた。
波紋ができて、映る月が歪む。
『(もうそろそろ戻ろうかな)』
と思い、振り返ると。
『えっ、ひ、秀吉様？！』
縁側に、秀吉様が座っていた。
「やっと気が付いたんだ〜！」
『や、やっと…？い…いつからいたのですか？』
その問いに、秀吉様は嬉しそうに答えた。
「月に向かって手を伸ばす所からかな！」
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マスラ - 初めまして！とても面白いです！続き楽しみにしています。更新頑張ってください！(*^_^*) (2019年2月9日 17時) (
レス) id: 9b6ae3d64f (このIDを非表示/違反報告)
奏琉斗 哀 - コメントありがとうございます。そうですよね、秀吉、私も好きです^^* (2018年10月20日 18時) (レス) id: ddcd85e1ba (このIDを非表示/違反報告)
奏琉斗 哀 - ニャン武士(^･x･^)さん» ありがとうございます。遅くなりますが、この後投稿させていただきます。 (2018年10月20日 18時) (レス) id: ddcd85e1ba (このIDを非表示/違反報告)
沖田総司 - キャー秀吉可愛い！ (2018年10月17日 23時) (レス) id: 61bbaa65c6 (このIDを非表示/違反報告)
ニャン武士(^･x･^) - 面白いです！更新頑張ってください！ (2018年10月11日 2時) (レス) id: 3f82ed1d40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奏琉斗 哀 | 作成日時：2018年9月22日 21時
