第13話 ページ14
少しだけ、空が赤く色付き始めた頃。
「碧珠！やっと終わった！」
と、秀吉様が私の部屋へ訪れた。
よく出来ました、と微笑んでいると、秀吉様がキラキラした瞳で聞いてきた。
「ご褒美、考えた？」
無論、私だってこの時間を花を見るだけで終わらせた訳じゃない。
しっかり考えた。
･･････だけど、考えても考えてもやっぱり秀吉様の好みも分からないし、何をすれば喜ぶのかも分からなかった。
『･･････考えるには考えたのですが…分かりませんでした。』
すみません、と土下座をする。
「･･･やっぱりだ『生け花がいいですか？それともお茶を立てるのがいいでしょうか…あ、琴でも弾きましょうか？お菓子を一緒に作るのもいいですし…！』･･････」
そう言うと、秀吉様は目をぱちくりさせてから思いっきり吹き出した。
「ぷっ、あっはは！考えてるね！くくっ。
･･････でもね、俺がしたい事じゃないかな〜」
その言葉に、一気に気持ちが下がる。
俯きながら考える。
やっぱり、分からないや…。
何をすれば喜んでくれるのですか？
何をすれば･･････本当のあなたを見せてくれるのですか？
そう、心の中で呟いた言葉は声に出ていたらしくて。
「え･･････」と言う、秀吉様の声が聞こえた。
『あ･･････すみ、ません。少しばかり、頭を冷やしてきます』
秀吉様の止める声は悲しみの底に居た私には聞こえなくて、ただただ廊下を小走りした。
縁側に出て、庭に降り東へ進むと。
花ばかりの楽園が、そこにはある。
ここは、秀吉様が私が嫁いできた時に行ってくれた、花をいっぱい植えて下さった場所。
ここに来るのは私しか居なくて、小さい私の秘密基地。
地面に咲いている牡丹のような低い花から、藤の花の様な木に咲いている花まで。
色とりどりの花が植えてあるここは、まさに桃源郷。
──ぽたり。
『あ、、』
私の悲しみは涙になって出て来て、下に咲いている花に落ちた。
長い間人との関わりが一切なかった私は、男性の方だって、こんなに多く話したのは秀吉様が初めて。
女中さんだって決められた人しか入ってこなくて、それも２人。
菊と牡丹。その名前は、私が付けた。
その人達は小さい頃からずっと一緒で、いつもそばに居てくれた。
嫁ぐことが決まった時も、泣いて喜んでくれた人。
私の、大事な人｡
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マスラ - 初めまして！とても面白いです！続き楽しみにしています。更新頑張ってください！(*^_^*) (2019年2月9日 17時) (
レス) id: 9b6ae3d64f (このIDを非表示/違反報告)
奏琉斗 哀 - コメントありがとうございます。そうですよね、秀吉、私も好きです^^* (2018年10月20日 18時) (レス) id: ddcd85e1ba (このIDを非表示/違反報告)
奏琉斗 哀 - ニャン武士(^･x･^)さん» ありがとうございます。遅くなりますが、この後投稿させていただきます。 (2018年10月20日 18時) (レス) id: ddcd85e1ba (このIDを非表示/違反報告)
沖田総司 - キャー秀吉可愛い！ (2018年10月17日 23時) (レス) id: 61bbaa65c6 (このIDを非表示/違反報告)
ニャン武士(^･x･^) - 面白いです！更新頑張ってください！ (2018年10月11日 2時) (レス) id: 3f82ed1d40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奏琉斗 哀 | 作成日時：2018年9月22日 21時
