【 2021.6.4 更新】 Move The World ～ RMPG short stories ～ (ページ11)

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◆ ９ ◆ whereabouts／Z ページ11

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彼は、いつも忙しい。

朝早く出掛けて、夜遅く………どころか、次の日の朝方に帰って来る日もある。

そうかと思えば…二、三日帰って来ない時もある。

・

「ただいま～」

あ………帰って来た。

なんだか、声が疲れてる。

「………あれ？ここにおったん？」

私を見つけて笑顔になる、彼………だけど。

この表情(カオ)は………やっぱり、疲れてる。

・

部屋着に着替えて、いつもの場所に座り込んだ彼。

“人間(ヒト)をダメにする ”………という噂のクッションに身体を預ける彼。

天井へ顔を向け、少しの間目を閉じていた彼は……テーブルの上に、スマホを置いた。

・

「こんばんは～！」

スマホに向かって、笑顔で話しかけている彼。

時々、この時間が訪れる度に思う。

“家に帰っても、仕事するの？”………って。

何の仕事をしているのか、私には分からないけど。

家にいる時の、いつもの彼とは全然違うから。

仕事をしているんだろう事だけは、分かる。

・

「おいで。」

スマホに向かって、仕事してる時………彼は時々、私を呼ぶ。

何故か…スマホの向こう側の相手から、私を見たいという要望があるらしいのだ。

でも。

仕事中の彼を、邪魔するのはイヤなので。

ほんのちょっとだけ顔出ししたら、画面前に長居しないようにしている。

それでも、何度も呼ばれる日があるから……その時は、彼の足の上に座ってみたりもする。

・

「それでは、また～！」

スマホに向かって手を振り、通信を切った彼。

今日は…お弁当食べたり、何故か途中で泣いたりしてた。

「おいて。」

自分の脚を軽く叩きながら私を呼ぶ、彼の顔は………帰って来た時より、明るくなっていた。

・

彼の脚の上で、丸くなる。

あったかくて………心地よくて。

優しく撫でてくれる彼の手が、安心感をくれる。

瞼が、重くなってきて………いつの間にか、眠ってしまった。

・

・

「あぁ…寝てしもた。」

愛猫の頭を、そっと撫でながら……幸せな時間を噛み締める。

「今日も俺は、あなたのベッドですか。まぁ………えぇけど。(笑)」

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