５７歩 ページ10
...
他の奴らより人一倍古株だから分かる事だってある。
多分サッチは気づいてる。
オヤジの声で。
………良い話じゃねェって事に。
「リアとエースから話は聞いた。」
船長室で、床にあぐらをかいて先に口を開いたのはオヤジだった。
「ノエルちゃんたちは。」
サッチが自分より上にある目を見た。
「……目ェ覚まして、普段通りにしてても問題ねェそうだ。」
今はリアのとこにる。
そう言って、オヤジは俯いた。
「……そうか。」
「……。」
酒と海と医薬の匂いがする。
おれとサッチとオヤジの３人の息遣いしか聞こえねェ。
しばらく沈黙が流れた。
外から聞こえる船員達のはしゃぐ声と波の音と
この部屋は別世界じゃないかと思うくらい静かだった。
オヤジが息を吸い込む音が聞こえ、顔を上げた。
「…………Aは天竜人だった。」
「「！」」
「＿＿誰かから暴力振られた事もなけりゃァ、陰口言われた事すらねェだろう。」
「……しばらく一緒にいたから気づかなかったかもしれねェが、
「あいつが世界貴族だったって事に変わりはねェ。」
「……あァ。」
「分かってるよい。」
オヤジの声しか聞こえない感じがした。
「お前らに、昔話をしようと思ったんだ……。」
ゆっくり座りなおしたオヤジが、静かに語り出した話。
...
おれらは絶句した。
「「……、!!!」」
＿＿＿＿＿なァ、
�狄性瓩辰禿曚�いたんなら、
なんで、
＿＿＿＿＿あいつはこんなに傷つかなきゃいけねェんだよい。
...
看護室の全身鏡の前に立った。
包帯はある程度はとられたけど、まだミイラみたいだった。
心配だった。
＿＿＿＿＿＿�爛▲讚瓩鮓�られてないか。
絶対見られたくないアレを見られてないか。
シャツの裾を胸くらいまで上げる。
まだ包帯が巻かれてないそこには数箇所の青痣と、それ。
包帯が足りなくなったらしくて、処置をするのは明日になるらしいが
私は慌ててそれをとめた。
自分でやるから、と。
「……、」
見るたびに鳥肌が立つそれ。
記憶が頭の中でぐるぐる回るそれ。
……天竜人だった時についたそれ。
『あぁぁぁぁぁあああぁぁ!!!!!』
右の横腹から胸のあたりまである深い切り傷の跡。
「っ、」
誰かに見られるなんて絶対嫌だった。
これを見て、
これをつけた奴を思い出して、
毎回毎回
なきそうになる。
ラッキーアイテム
革ベルト
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伊東 灯 - ナースさん達とのやり取りが一番好きかも← (2017年1月30日 16時) (
レス) id: f526fe80d2 (このIDを非表示/違反報告)
(<●>д<●> ) - 面白いです！ 原作に沿って男キャラの、『俺』が「おれ」になっていて嬉しかったですw (2015年11月29日 16時) (レス) id: 3e3180481b (このIDを非表示/違反報告)
マイ - 91歩目がすごく感動しました！ (2014年8月17日 0時) (レス) id: 7eeceb7cb5 (このIDを非表示/違反報告)
みなっち - 恋愛系がんっばってなのだ (2012年3月13日 18時) (レス) id: f5e43b651c (このIDを非表示/違反報告)
ピコ - とっても楽しみです♪ (2012年3月12日 18時) (レス) id: 5ee57061a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Kanae | 作成日時：2011年10月31日 9時
