５５歩 ページ8
...
「……。」
あの後、オヤジからも色々言われて、
なんとか落ち着いた。
でも、まだ何処かでもやもやした気持ちがある。
リアから、Aは目が覚めたって聞いた。
会いに行こうとしたら凄ェ形相で止められちまった。
Aがあんな事になったのは、おれのせいでもあるかもしれねェ。
おれが、あそこまでつっかかってなかったら、
Aは傷つかなくてすんだかもしれねェ。
「……、」
甲板に出て、空を見た。
少し曇った雲はまるで、自分の心を見てるようだった。
さっきから、
『エース。』
Aの声が頭に流れる。
...
「マルコ、A、目ェ覚ましたぞ。」
ノックもなしに、入ってきたサッチはそう言った。
「そうかい。」
「？何も思わねェのか。」
＿＿妙に冷静な自分。
それほどまでに、落ち着いているのは、
Aが無事だった歓喜より、
気づけなかった自分自身への怒りのほうが勝っていたからだ。
今すぐ自分を海にでも突き落としてやりてェ。
あいつはもっと辛ェ思いをした。
痛くても、
どんなに痛くても、
あいつはおれ達にいつもどおりだった。
取り繕うのは、凄く辛ェ事だ。
皆の前で不安を隠して過ごすのは難しい事だ。
「お前は悪かねェよ。」
「………違ェ。」
「自分のこと責めんなって言われたろ。」
「違ェ。」
「だからお前は、
「違ェ!!!」
「……マルコ、」
何故かあいつが傷つくと、凄く悲しい。
あいつを守れなかった自分が悔しい。むなしい。
「少なくともAはお前にそんなの思ってほしくねェよ。」
「……！」
「辛ェのは分かる。おれもそうだ。」
ああ、
「悔しいだろ。」
これが、
「あいつを守れなかった事が。」
これが、
「一人で背負うんじゃねェ。
家族だろ。」
＿＿＿＿＿ 好き って気持ちなのかもしれねェ。
...
「……分かったよい。」
サッチはいっつもいっつもアホでバカだが、
たまに別人じゃねェかってくらい、納得させられる言葉を吐く。
「当たって悪かった。」
「おうよっ。」
やっぱコイツは良い奴で……、
「よっしゃ、今寝てるだろうから、Aの寝顔が見れるぜ。」
胸の前で親指立てた手、つぶやく言葉。
「……。」
「はやく行くぞ！マルコ!!」
………だめだこいつ。
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伊東 灯 - ナースさん達とのやり取りが一番好きかも← (2017年1月30日 16時) (
レス) id: f526fe80d2 (このIDを非表示/違反報告)
(<●>д<●> ) - 面白いです！ 原作に沿って男キャラの、『俺』が「おれ」になっていて嬉しかったですw (2015年11月29日 16時) (レス) id: 3e3180481b (このIDを非表示/違反報告)
マイ - 91歩目がすごく感動しました！ (2014年8月17日 0時) (レス) id: 7eeceb7cb5 (このIDを非表示/違反報告)
みなっち - 恋愛系がんっばってなのだ (2012年3月13日 18時) (レス) id: f5e43b651c (このIDを非表示/違反報告)
ピコ - とっても楽しみです♪ (2012年3月12日 18時) (レス) id: 5ee57061a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Kanae | 作成日時：2011年10月31日 9時
