９０歩 ページ43
エースはあの後、マルコとサッチにも声をかけてくれて、
甲板にはほとんどの人が集まった。
改めて、隊長の力って凄いと思った。
「大丈夫か？」
「おれ達から言ってもいいんだぜ？」
「本当に、言うのかよい？」
３人は心配してくれたけど、
今の私にはいらない。
大丈夫、と言って、私は皆の前に立った。
甲板の隅から隅まで人がいる。
どん
と心臓が打たれたかのように早鐘を打ちはじめた。
皆の視線が私に向く。
彼らの耳には波の音と私の声しか入らない。
大事な話だ。
「皆に、大事な話があって、集まってもらったんだ。」
皆が私を見る。
私は、
「私、」
心臓が止まるかと思った。
俯いてしまう。手がふるえる。
心も体も、私の全てが震える。
呼吸も苦しくなってくる。
...
『……おれだけは、ずっと、ずっと、Aをひとりにはしねェ。』
...
エース。
...
私は顔をあげた。
「＿＿＿天竜人だったんだ。」
途端、
周りの空気が一変する。
ざわめく人の声。
同様する空気。
ずれてく、思い。
こんな私を皆どう思うだろうか。
こんな私を受け止めてくれるだろうか。
だったんだよ。
私はもう、今天竜人じゃないんだよ。
「どういうことだ？あいつは天竜人って、」
「!?あいつ...ッ！良い奴だと思ってたのによォ!!」
「天竜人ってこたァどれいも買ってたってことだよなァ!!」
「...っ、！」
皆から色んな声が飛んでくる。
どう答えていいかも分からなかった。
「＿＿＿＿＿＿お前ら、黙れ!!!」
「「「!!?」」」
しん、と辺りが一瞬で静まり返る。
頭の上に誰かの手。
ふ、と横を見れば、それは、エースだった。
「こいつは天竜人じゃねェ。」
え？
「!?でも、今そいつ、天竜人だったって……。」
「そうっすよ！隊長!!この船には天竜人に傷つけられた奴も乗ってる!!」
「シャボンディ諸島の人身売買をこいつはやってたかもしんねェんだ!!」
「黙れ。」
「!?」
冷たい、冷たい、低い声。
それが隣の同じ人間から出たものだって、信じらんなかった。
「聞け。
お前らはこいつが天竜人だったって言ったらそんな目でみんのか？
じゃァこいつが今まで、クソみてェな出来事かなんかを起こしたか？
おれらは家族だ。
おれらをこの船に乗せてくれたオヤジが乗せた女を
おれらが疑うってことァ、おれが許さねェ!!」
「「「!!」」」
何も、
心配することァねェ。
大丈夫だ。
エースが小さく私にそう言った。
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伊東 灯 - ナースさん達とのやり取りが一番好きかも← (2017年1月30日 16時) (
レス) id: f526fe80d2 (このIDを非表示/違反報告)
(<●>д<●> ) - 面白いです！ 原作に沿って男キャラの、『俺』が「おれ」になっていて嬉しかったですw (2015年11月29日 16時) (レス) id: 3e3180481b (このIDを非表示/違反報告)
マイ - 91歩目がすごく感動しました！ (2014年8月17日 0時) (レス) id: 7eeceb7cb5 (このIDを非表示/違反報告)
みなっち - 恋愛系がんっばってなのだ (2012年3月13日 18時) (レス) id: f5e43b651c (このIDを非表示/違反報告)
ピコ - とっても楽しみです♪ (2012年3月12日 18時) (レス) id: 5ee57061a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Kanae | 作成日時：2011年10月31日 9時
