５１歩 ページ4
おれとオヤジだけの船長室。
まだ状況が読めなかった。
心臓の鼓動がさっきから、止まらない。
「……で？お前が入ったときはAはノエルからリンチを受けてたってのか……。」
「そっから、記憶がねェ……!!」
Aの顔が思い浮かぶ。
またぶっ壊れそうだ。
「あいつは家族を傷つけた……!!大事な家族をだぞ!!!!!!」
おれが黙ってから、沈黙が流れる。
オヤジはただ何も喋らずおれを見ていた。
この瞳は大好きでもあり嫌いでもあった。
心を許してしまいそうになる。
長く感じられた時間が過ぎたとき、オヤジが口をひらいた。
「……おれもノエルは許すわけにいかねェ。だが、お前はまず落ち着け。」
「……！」
「Aは大丈夫だ。リアがついてる。」
「っ、」
何よりも悔しかったのは、自分が気づいてやれなかったこと。
ノエル、おれ達を避けてたA、甲板で見かけなくなったA。
＿＿こんなにも サイン は分かりやすく出ていたのに。
何で気づいてやれなかった……、
...
おれは言い合いをするサッチとリアを黙って見ていた。
かといって、２人の会話は全く頭に入らなかった。
ただ、Aがいるであろう看護室の扉を睨みつけていた。
悔しかった。
家族の苦しみに、事故に、
気づいてやれなかった。
プライドをぶっ壊されたような気がした。
隊長として失格だ。
これでも一番と言っていいほどの古株。
家族を見てやるのが当たり前だった、
それが出来なかった。
「らしくねェな、」
語尾が掠れた。
「！……マルコ。」
「失格だよい、船員として、隊長としてな。」
サッチが口を開きかけたが、すぐに噤んだ。
「今は、」
「……、」
「Aが完治するのを祈りましょう。」
息のつまるおれを見ながらリアが言った。
「……あぁ。」
「ノエルには私からも言っておくわ。まずは自分を責めないことよ。」
その通りだ。
リアの言うとおりだ。
今は頭が理解しきってない。
それだけ、
それだけのはずだ、
「どこ行く。」
「……部屋戻ってるよい。」
サッチとリアに顔を向けずにそこから去った。
...
「サッチ」と不安げにおれを見上げたリアに
「大丈夫だ」と声をかけた。
マルコは怒ってる時、気持ちが高ぶってる時は口癖がつかなくなる。
本人は知らねェかもしれねェが、間違いなく奴も動揺してるんだろう。
がちゃり
「「！」」
＿＿＿＿＿その時、
看護室の扉が開いた。
ラッキーアイテム
革ベルト
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伊東 灯 - ナースさん達とのやり取りが一番好きかも← (2017年1月30日 16時) (
レス) id: f526fe80d2 (このIDを非表示/違反報告)
(<●>д<●> ) - 面白いです！ 原作に沿って男キャラの、『俺』が「おれ」になっていて嬉しかったですw (2015年11月29日 16時) (レス) id: 3e3180481b (このIDを非表示/違反報告)
マイ - 91歩目がすごく感動しました！ (2014年8月17日 0時) (レス) id: 7eeceb7cb5 (このIDを非表示/違反報告)
みなっち - 恋愛系がんっばってなのだ (2012年3月13日 18時) (レス) id: f5e43b651c (このIDを非表示/違反報告)
ピコ - とっても楽しみです♪ (2012年3月12日 18時) (レス) id: 5ee57061a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Kanae | 作成日時：2011年10月31日 9時
