７５歩 ページ28
何でエースがいきなりそんなことを言ったのかはわかんない。
でもふっと頭を過ったのは、リアさんのおばあさんで。
ああ、そっか。
この島できっと何かを聞いたんだな、と。
すぐに理解して、そして頭を駆け巡ったのは
『あの時』。
友達もいない。
味方もいない。
家族と思える人もいない。
母さんは死んで。
ひとりぼっちだった時、
私は何で私だけひとりぼっちなのか分かんなかった。
普通にしてるだけなのに。
普通に私のまま接してるだけなのに。
その時は、
笑いまくってた気がする。
本物じゃない笑顔の話だ。
それでも皆は背を向けて。
ぽつんと一人だけ立つ私の名前すら、
彼らは覚えていないように思えた。
笑顔は自然に消えていった。
涙も乾いた。
感情も薄れた。
ただ、一つ、 自由 になりたいと、
そうとしか思わなかった。
「おれがいる。」
なんて思ってエースがそう言ったのか分かんない。
私の何を知ったのか。
聞かない。
私は聞かない。
でも言いたいことは
ちゃんとあった。
「エース、」
＿＿＿あんたに、
あの、
�爐劼箸蠅椶辰銑瓩痢�
気持ちが分かる＿＿＿？
エースの背中に回っていた腕がピクッと動いた。
だけど、エースはもっと回す腕の力を強めて。
言った。
「...........あァ。」
この声を聞いて思う。
エースもきっと『ひとり』を知ってるんだろう。
きっと私よりも、知ってるんだろう。
辛い、怖い、寂しい、不安。
「＿＿＿＿おれだけは、ずっと、ずっと、Aをひとりにはしねェ。」
「……!!」
「オヤジ、隊長たち、仲間、皆家族だ。」
「……信じていいんだ。……安心していいんだ。」
「！」
『A、』
『強くなくても生きていける。』
『あなたの重荷を、運んでくれる人がいないということは絶対にない。』
「……!!ありがとう……っ!!」
ひとりなんて事はない。
エースがいてくれる。
頬に伝わる涙。乱暴に拭って顔をあげる。
エースから体を離して。
私は笑った。
ありがとう。
この船は、きっと私をひとりにはしない。
分かってくれるだろう。
私がしてきた事に、「正しい、それでこそお前だ！」って、
そう言ってくれるだろう。
エースは驚いたように一瞬目を見開いたけど、
いつもと変わらないその笑顔で、
「やっと笑ったな！」
そう言ってくれた。
...
...
...
その場に、盗聴用の電伝虫が置いてあったとは、
二人は知るわけもない。
ラッキーアイテム
革ベルト
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伊東 灯 - ナースさん達とのやり取りが一番好きかも← (2017年1月30日 16時) (
レス) id: f526fe80d2 (このIDを非表示/違反報告)
(<●>д<●> ) - 面白いです！ 原作に沿って男キャラの、『俺』が「おれ」になっていて嬉しかったですw (2015年11月29日 16時) (レス) id: 3e3180481b (このIDを非表示/違反報告)
マイ - 91歩目がすごく感動しました！ (2014年8月17日 0時) (レス) id: 7eeceb7cb5 (このIDを非表示/違反報告)
みなっち - 恋愛系がんっばってなのだ (2012年3月13日 18時) (レス) id: f5e43b651c (このIDを非表示/違反報告)
ピコ - とっても楽しみです♪ (2012年3月12日 18時) (レス) id: 5ee57061a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Kanae | 作成日時：2011年10月31日 9時
