６９歩 ページ22
まるで頭の中に強い一本の細い光をさされたようだった。
ぴん、と張り詰めたその記憶はゆるくほどけて
衝撃を残したまま広がってゆく。
私は
言葉がでなかった。
「リアの妹は天竜人に殺された。」
「！」
『カナが……天竜人なんて……。』
あの時聞いた声に聞き覚えがあったのは。
大事な人を誰かに殺された人だけが出せる声だ。
もう、耳が覚えてしまった声だ。
フードを深く被り直した。
老婆はまだこっちを見ている。
老婆が言う言葉が私の胸にどんどん深く突き刺さる。
「だが私は、」
「……。」
「あんたの事は恩人であるとおもっとる。」
「？」
「あの時、あなたは地面に叩きつけられ怪我をした。」
「けれども懸命にあなたは次、リアが連れて行かれそうになったときにリアを守った。」
「……。」
「リアは」
「きっとあなたが助けてくれたことを覚えておらんじゃろう。」
「誰かに助けてもらったことは、ちゃんと覚えていると思うがの。」
...
ノエルは驚いたように目を見開き、
リアの次の言葉にさらにそれを大きくした。
「妹は殺されたの。」
天竜人にね。
...
島に天竜人が来るのは、別に急ってワケじゃない。
前々から「来る、来る」って言って、世界貴族っていう偉い人達っていうのはあたしだって分かっていた。
だけど、いきなりそれは始まった。
海岸に集まる島の人達はほとんど全員集まっていて、
人と人に挟まれて、上手く前が見えない。
島の人達が歓迎をする中で、
それが起きたのはほとんど一瞬だった。
ドン!!!
生まれて初めて聞いた銃声。
人を殺す音。命を奪う音。
それが自分と妹のずっと前から聞こえてきた。
途端に聞こえる悲鳴と叫び。
混じって聞こえる怒鳴り声と銃声。
怖かった。
その時、恐怖かなんだか分かんない気持ちに乗っ取られてた私は、
妹の声でハッとした。
「おねえちゃーん!!いってみよー！」
無知。
その二文字が頭のなかを駆け巡り、背中を冷たい手でなでられたように感じた。
まだまだ小さい妹は人々が逃げる方向とは反対にどんどん前に進む。
私はそれを後から追いかける。
人も少なくなってくると、前で何が起きたのか分かってくる。
世界政府に不安を持っていた人達が、天竜人に文句を言ったらしく、
怒った天竜人がここの島民……下々民をどれいにすると言い出した。
「っ……!!」
「！子供は見んでええ!!」
おばさんに顔を覆われたが
一瞬見えた光景は頭に焼きついた。
ラッキーアイテム
革ベルト
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伊東 灯 - ナースさん達とのやり取りが一番好きかも← (2017年1月30日 16時) (
レス) id: f526fe80d2 (このIDを非表示/違反報告)
(<●>д<●> ) - 面白いです！ 原作に沿って男キャラの、『俺』が「おれ」になっていて嬉しかったですw (2015年11月29日 16時) (レス) id: 3e3180481b (このIDを非表示/違反報告)
マイ - 91歩目がすごく感動しました！ (2014年8月17日 0時) (レス) id: 7eeceb7cb5 (このIDを非表示/違反報告)
みなっち - 恋愛系がんっばってなのだ (2012年3月13日 18時) (レス) id: f5e43b651c (このIDを非表示/違反報告)
ピコ - とっても楽しみです♪ (2012年3月12日 18時) (レス) id: 5ee57061a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Kanae | 作成日時：2011年10月31日 9時
