【無印イナイレ】その花は蝶の夢を見るか５ (ページ7)

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第14章─４話　決勝戦開始ページ7

そしていよいよ、試合の開始が訪れる。試合開始直前、それぞれの選手たちが向かい合って並び、お互いのキャプテンである円堂とアフロディが1歩歩み寄り、お互いの手を取り合う。

「警告したはずだ、棄権した方がいいと」
「サッカーから…大好きなものから逃げるわけにはいかない。俺たちの今の力を全てぶつけて、お前たちに勝つ！」
そう答える円堂に、アフロディはフッと瞳を細める。

「君ならそう言うと思っていたよ…円堂くん」
「！」

　そしていよいよ試合が始まる。

「いよいよフットボールフロンティア全国大会決勝、雷門中対世宇子中の試合が始まります！」
実況の言葉に観客のボルテージが上がる。そして試合開始を告げるホイッスルが、今鳴り響いた。

「さあ試合開始だ！」
世宇子中のキックオフで試合が始まる。世宇子中の選手たちは、後方にいるアフロディへボールを送った。しかし、ボールを受け取ったアフロディは1歩も動こうとしない。

「…動かない？」
「舐めんな！」
そこへ豪炎寺と染岡が駆け寄る。

「君たちの力は分かっている。僕には通用しないということをね…ヘブンズタイム」
そう言って、アフロディはパチンと指を鳴らした。すると、染岡と豪炎寺の動きがピタリと止まった。アフロディは2人の間を悠々と歩いていく。そして2人の間を抜けたところで、またパチンと指を鳴らした。

「いつの間に…！」
豪炎寺が呟いたその時にはもう遅い。豪炎寺と染岡は突如巻き起こった突風によって、遥か彼方へ吹き飛ばされてしまった。

「何とアフロディ、目にも留まらぬ高速移動！豪炎寺と染岡が弾き飛ばされたー！」
「見えなかった…」
「何て速さだ…！」
一之瀬と鬼道がアフロディの元へ駆け寄る。

「…ヘブンズタイム」
しかし、アフロディは先程と同様にヘブンズタイムというもので難なく2人をかわしていく。

「…僕たちは、人間を超越した存在なんだ」
アフロディがそう呟いたその時、再び突風が巻き起こり一之瀬と鬼道が飛ばされてしまった。

「お兄ちゃん…！」
「あれが、世宇子の力…！」
音無とAがそう呟く。

豪炎寺たちが弾き飛ばされる様子を見ていた土門と壁山は、アフロディの接近にただただ怯えるばかりだ。

「怯えることを恥じる必要はない。自分の実力以上の存在を前にした時に…当然の反応なんだから」
そんな2人も例に漏れず、アフロディによって吹き飛ばされてしまう。アフロディはこの一瞬、たった1人で、円堂の元へと迫ってきたのだ。