【無印イナイレ】その花は蝶の夢を見るか５ (ページ16)

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第14章─13話　イナズマイレブンページ16

しかし、それは強力なシュートの前では無力だった。

「素晴らしい技の連携だ！」

ファイアートルネードとツインブーストのコンボ技が強力だということを知った雷門イレブンは、その2つの技によるシュートでついに同点に追いつく3点目の加点に成功する。

「雷門、ついに同点！残り時間はあまりない、このまま延長戦か？それとも決着か？」

状況が大きく覆され、アフロディは絶望のあまりその場に膝を着いた。今の彼に戦う意欲はまったくないようだ。

そんなアフロディを横目に、円堂がゴールを空け前線へ上がって行く。

「最後の1秒まで、全力で戦う！」
「それが俺たちのサッカーだ！」
円堂、一之瀬、そして土門が駆けて行った。

「「「ザ・フェニックス！」」」
「ファイアートルネード！」
炎を纏った強力な必殺技のコンボ。巨大な不死鳥の前に、ポセイドンは思わずゴールから逃げ出した。

「逆転ー！ついに雷門勝ち越しーっ！」

そして世宇子から雷門が4点目をもぎ取ったその瞬間、試合終了を告げるホイッスルが鳴り響いた。

「ここで試合終了！フットボールフロンティア決勝戦、勝ったのは雷門！劇的な大逆転勝利だーっ！」
「勝った…」
フィールドに、円堂の小さな呟きがこだまする。

「やったぁぁーっ！」

そして勝利を実感した皆は、そう歓喜の声を上げた。それは怪我をして試合から離脱した選手たちや、マネージャーたちも同様だった。

「よくやった、皆…！」
響木も感激の声を上げている。

「おめでとう、皆…本当におめでとう…！」
そう言ったAの瞳には、歓喜のあまり涙が滲んでいた。彼女は今までの戦いを思い出す。

「長かった、ここまで本当に…でもあっという間で…」
影山の悪事を暴き、その魔の手からかつての友人を救い出そうと足掻いた日々を。長かったけど、それでもあっという間に感じられた戦いの日々を。

「私、ここにいて本当によかった…雷門に来ることができて本当によかった」
Aが呟くその言葉に、響木は視線を雷門イレブンに向けたままフッと笑みを浮かべる。

「なれたのかな、俺たち…伝説のイナズマイレブンに！」
「いや、伝説はこれから始まるんだ！」
円堂の言葉に豪炎寺が答える。

そう。

これは、彼らの伝説のただの始まりに過ぎなかったのだ。

待ち受けている新たな戦いの日々。

今の彼らにそれを知る術はない。