第14章─８話 諦めない心 ページ11
「入ったばかりの目金が退場！雷門は1人足りない10人で戦っています！」
その後も、雷門は世宇子の圧倒的な力に弄ばれ続けた。
「雷門イレブン、世宇子中のスーパープレーの前に次々と倒れていく！あまりにレベルが違いすぎる！」
その圧倒的な力の差に、雷門イレブンは恐れおののく他なかった。
「まだ続けるかい？いや、続けるに決まってるな。では質問を変えよう」
シュートを受け地面に倒れ込む円堂に、アフロディが問いかける。
「チームメイトが傷ついていく様子を、まだ見たいのかい？」
円堂は顔を上げた。その瞳に映るのは、フィールドに倒れ込む雷門イレブンの姿だった。
「続けるか棄権か…君が決めるんだ」
スタジアムに、静寂が訪れる。円堂は答えを決めあぐねているようだ。
「何を迷ってる、円堂！」
そんな彼に、声を上げたのは豪炎寺だった。
「俺は戦う！そう誓ったんだ！」
「豪炎寺の言う通りだ！」
風丸もそれに続く。
「まさか、俺たちのためにと思ってるんだとしたら大間違いだ！」
「最後まで諦めないことを教えてくれたのはお前だろう！」
「俺が好きになったお前のサッカーを、見せてくれ！」
鬼道と一之瀬も円堂にそう叫んだ。他の皆もそれに続いて、円堂の名前を叫ぶ。そしてそれを受けて、円堂は立ち上がった。
そして何とか立ち上がった雷門イレブンは、反撃の狼煙を上げた。豪炎寺がボールをキープし敵陣に斬り込んでいく。
「ディフェンスは攻撃陣を徹底的に狙え！」
アフロディがそう叫んだ。
「メガクェイク！」
世宇子ディフェンダーはその指示通りに動く。
「オフェンスは守備陣を！」
「ダッシュストーム！」
「皆！」
吹き飛ばされる皆を見て、叫んだ円堂。
「キーパーは重点的に！」
「ディバインアロー！」
「マジン・ザ・ハンド！」
円堂はそう叫び、相手の必殺シュートを受け止める。完全に勢いを止められはしなかったものの、何とかシュートを弾き飛ばすことには成功した。
「跳ね返りの角度が予想通り」
「やはりあの技は習得できていないようだな」
世宇子の選手たちは余裕綽々といった様子でそんな会話をしている。皆が次々と倒されている様子を見て、音無が思わず目を逸らした。
「これ以上見てられません！」
「目を逸らしちゃ駄目よ」
音無の言葉に、Aが間髪入れずにそう言う。
「でも！」
「皆があれだけ必死に食らいついているのに、私たちがこの戦いから逃げるわけにはいかないわ」
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作者名：紫苑 | 作成日時：2023年10月3日 0時
