第３章─４話 秘伝書の在り処 ページ37
「コツは兄さんに教わったんだけどね」
「A、お兄さんがいるのか？」
風丸の言葉にAは頷く。
「コツを教わったってことは、サッカー上手いのか！会わせてくれよ！」
目を輝かせそう言う円堂に、Aは一瞬表情を暗くする。
「ええ、まあ…機会があればね」
するとその時。ぐぅぅと、円堂のお腹が盛大に鳴った。
「…何か食ってから帰るか？」
「…そうね、私もお腹減った」
「よし、決まりだな！」
風丸の提案で、4人はとあるラーメン屋を訪れた。皆でラーメンを頬張りながら野生中戦へ向け話し合う。
「相手は野生中だぞ？必殺技もなしにどうやって戦うんだよ」
「俺は皆を信じる！」
風丸の言葉に、円堂が反応する。
「と言うと？」
「例え新必殺技がなくたって大丈夫さ！俺たちはイナズマイレブンになるんだから！」
「…何の努力もなしになれるわけないでしょ」
Aが冷静にそう返す。風丸と豪炎寺も不安そうな表情を浮かべている。
「…でもイナズマイレブンの人達って、どんな必殺技使ってたのかしらね」
「…イナズマイレブンの秘伝書がある」
Aの呟きに反応したのは、意外にもラーメン屋の店主だった。
「秘伝書？」
「秘伝書って、必殺技のノートなら家に…」
「ノートは秘伝書の一部に過ぎん。お前…円堂大介の孫か？」
「え？ああ、うん」
「！そうか、大介さんの孫か…！」
そう言って高らかに笑うと、店主のおじさんは脅すような口調で円堂に詰め寄る。
「秘伝書はお前に災いをもたらすかもしれんぞ…それでも見たいか？」
「ああ、もちろん！」
円堂がなんの迷いもなく即答すると、店主のおじさんは満足そうに微笑んだ。まるでその答えを待っていたかのようだった。
そして次の日。雷雷軒のおじさんから聞いた秘伝書の存在を皆に伝えた。
「じいちゃんが書いた秘伝書が学校にあるんだって！」
Aはふと、あの店主がなぜ秘伝書の在処を知っているのかが気になったが、今は確かめようがないため考えないことにした。
「それで、秘伝書はどこにあるっすか？」
「ああ、それが…」
「…本当にここにあるんすか？」
秘伝書を手に入れるために一同が訪れたのは理事長室。雷雷軒のおじさんによると、雷門中の理事長室に秘伝書があるらしい。
「理事長室の金庫の中だ」
「…よし、サッと入るぞ」
円堂の一言で、皆は理事長室に突入する。
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作者名：紫苑 | 作成日時：2023年2月19日 1時
