アブノーマルと【黒】 (ページ2)

今日:5 hit、昨日:3 hit、合計:13,210 hit

危ないよページ2

黒「っ……え？」

ぐっ…！と、急に強い力で引っ張られて、すぐ横にあった自動販売機の陰に連れ込まれた。

そいつは、俺を覆うようにして立っていて、俺はがくがく震えながら腰をぬかした。

俺の頭は救難信号を発して、ガンガンと何かが鳴っとる。なのに、身体は嘘みたいに、動き方を忘れて、助かりたい、何とかしなくては、の先に「ああ、俺しぬんかな？」と確信じみたことが浮かんだ。

『…しーっ……少しの間だけ、絶対に動かないで、声もあげないでください』

その人物は、本当に小声で俺に言った。すると次の瞬間

ぎゃあっ……！がっ……やめっ！た、あ、すけ……

うめき声に似た断末魔の訴えと、荒い息づかいが聞こえてきた。

え？待って……どういうこと？

今、この自販機の向こうでは一体何が起こってんねん。

パッと頭に浮かんだのは、恐ろしくも恐ろしい、今日楽屋のテレビで見た“あの”事件が頭をよぎった。

連続殺人事件

なんて陳腐な響きで、なんて現実離れしてて………なんて恐ろしいんやろ。

この予想が外れだってことを俺は必死に祈り、自販機の裏で息を出来る限りひそめ、向こうで行われている“何か”と、“何か”の音が消えるのを待った。