#47 ページ47
･
｢あの子、思ってたよりも元気そうでよかったわ｣
部活動の時間が終わり
練習着から制服に着替え部室から出て歩いていた流川は
ふいに彩子に声をかけられ歩く足を止めた
彩子とは中学の頃からの知り合いで
女の子からモテモテで話を持ちかけられても全く興味を示さない流川が唯一ちゃんと話に耳を傾ける相手だ
｢Aのことスか｣
｢そうそう、心配だったのよあの子のこと｣
付き合いが長いからこそのものなのか
"あの子"という言葉だけで
話の内容がAの事だと気づき
彩子と並び歩きながらぽつりぽつりと言葉を交わす
｢Aは確かに凄い子よ、あの子ほど一生懸命で努力してる女子バスケットの選手は見た事ない｣
｢でもあの子…周りに期待されればされるほど背負い込んじゃうところがあるじゃない｣
｢それに中学の頃も色々あったし、今も心配が絶えないというかさ｣
流川と彩子が同じ中学の出身ということは
Aと彩子も同じ中学の出身ということになる
面倒みのいい彩子は流川のことをよく知るようにAのこともよく知っている
だからこそ今のAの姿を見て安心する反面、まだどこか心配の気持ちが残っているようだった
彩子と流川しか知らない中学時代のAの話
明るく元気はつらつな彩子が心から心配した表情を浮かべて気にかける様子から
その過去は決して明るいものではないのだろう
｢Aはかわいい妹みたいなもんじゃない！｣
｢あんたもそうでしょ？｣
｢妹…｣
妹、と言われた途端珍しく深く考え始める流川
Aとは小学校からの付き合いでそばにいるのが当たり前
中学生の頃からよく周りにAとはどういう関係なのかと男女問わずうんざりするほど聞かれてきたが
初めて出会った頃から流川に対するAの認識は一貫して変わっていない
流川にとってのAは恋人でも友達でもなかった
｢否定はしない｣
友達以上恋人未満という言葉がよく似合う関係
Aが言っていたように
流川もまた自分とAは双子の兄と妹に近い関係だと認識している
Aとの認識の違いと言えば自分のことを上だと思っているところくらいだ
｢高校でもバスケを続けるって時は驚いたけど｣
｢あの子が楽しそうにやってるのを見ると止められなかった｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 201人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ピトリコ(プロフ) - 高校生ならではの会話が凄くリアルで惹き込まれました！これから最新話まで一気に読破します！素敵な作品に出会えてよかったです。 (2023年3月31日 20時) (
レス) id: 36bff0e057 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - こちめるさん» 無理せず頑張って下さい！更新楽しみにしてます＾＾ (2023年2月10日 22時) (レス) @page50 id: 27c27c579a (このIDを非表示/違反報告)
こちめる(プロフ) - みみさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけてとっても嬉しいです🥲 (2023年2月10日 0時) (レス) id: b38c8404b7 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - いつも楽しみにしてます^_^ (2023年2月9日 10時) (レス) @page50 id: 27c27c579a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こちめる
| 作成日時：2023年1月29日 20時
