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#43 ページ43












「Aちゃん?」









男バスの練習を応援しに来ていた晴子の目に映ったのは

普段は下ろしている髪をひとつに束ね

大きめのTシャツにハーフパンツとTheスポーツ万能女子なAの姿

どんな練習にも全力で相手が先輩だろうが背の高い人だろうが果敢に挑み続ける彼女の姿は

同性の晴子から見ても尊敬できてかっこよくて見惚れるほどのものなのだが

今のAの様子はまるで正反対でどこかおかしく見えた











「(なんか、なんか言わないと……変なやつだと思われる)」










休憩に入ってからかなり時間が経過しているし

別に暑いわけじゃない

それなのに理由もなく汗がダラダラと流れてくる

何か言わなきゃいけないのに言葉が詰まって

ただ口を開けただけ

元々あまり話したことのない人と話すのは苦手だけどそれとはまた別のものというか、そんな感じがする












「悪いな、わざわざ取ってもらって」









目線をどこに向けていたらいいのか分からなくて

履き慣れた自分のバッシュの靴紐を見るのに精一杯

そんなAの顔がぎこちなくどこかバツの悪そうな三井の声で反射的に上がった












「いや……全然、気にしないでください」











三井も三井でぎこちなくバツの悪そうな声だったが

それ以上にAの方がよりぎこちない声になっていた

あの日見た記憶、そして今日の朝の出来事

晴子や彼女の友人と交わした会話や先輩との会話

憧れの感情と恋愛感情の違いとは一体何か?

色んなものがグルグルと混ざり合い、過酷な練習で疲れているAの頭を混乱させていく













「私あんなA初めて見たんだけど」

「三井ってすごい」

「うちらの後輩めちゃくちゃかわいい」










後になって気づいたことだが

2人は特別長い時間会話をしたわけではなかった

向き合っていた時間も本当にわずか数秒の出来事だ

それなのにどういうわけか時間の流れが遅く感じて

さっさとボールを渡せばいいだけのことなのに

やるべき事はシンプルでたったひとつなのに体が動かないでいた

時間の流れの遅さにも驚いたがA本人以外の第三者が見ていて1番驚いたのは

今まで見た事のない表情をしたAの姿











「ねぇ、あれ本当に憧れだけの顔?」

「それ私も思った」










本人は強く憧れだけだと語っていたが

果たして本当にそうなのか

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設定タグ:SLAMDUNK , 三井寿 , 流川楓   
作品ジャンル:アニメ
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ピトリコ(プロフ) - 高校生ならではの会話が凄くリアルで惹き込まれました!これから最新話まで一気に読破します!素敵な作品に出会えてよかったです。 (2023年3月31日 20時) (レス) id: 36bff0e057 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - こちめるさん» 無理せず頑張って下さい!更新楽しみにしてます^^ (2023年2月10日 22時) (レス) @page50 id: 27c27c579a (このIDを非表示/違反報告)
こちめる(プロフ) - みみさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてとっても嬉しいです🥲 (2023年2月10日 0時) (レス) id: b38c8404b7 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - いつも楽しみにしてます^_^ (2023年2月9日 10時) (レス) @page50 id: 27c27c579a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こちめる | 作成日時:2023年1月29日 20時

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