#39 ページ39
・
「何となく見てて気づいちゃったんだけど」
「アイツが復帰してからAちゃんずっと見てるよ?」
かわいいねかわいいねと何度も言いながら
私の頬をつんつんつつく奈津先輩
気づいたら他の先輩たちもゾロゾロと集まってきて
私の頭に腕を置いたり、私の方に顎を置いたりと
結構やりたい放題な状況になっていた
別に嫌じゃないしむしろ分け隔てなく接してくれることに感謝してるけど少しだけ重い
でもそんなことは先輩に言えない
「なになに何の話?」
「その……」
「Aが恋する女の子みたいな顔で男バスの野郎共を見てたって話〜!」
「え!?何、Aアンタ男バスに好きな子でもいるの!?流川くん!?流川くんなら先輩張りきって応援するけど!」
「違いますよ違います、楓でもないしそもそも好きな人とか…」
「でもでも三井のこと見てんの知ってるよ私」
「えっ!?!?三井!?!?」
こういう時に強く否定できるほどの度胸はない
何も先輩に限った話じゃないけど
私の周りの女の子たちはみんな恋バナが大好き
1人が話せばそれに共鳴するかのようにみんな乗っかり出す
別にそんなんじゃないのに なんでこうなっちゃうのさ
「Aそれほんとに!?」
ベリッと剥がされるように勢いよく肩を掴まれて
ブンブン強く揺さぶられる
正気じゃない私を正気に戻そうとしてるのかもしれないけどごめんなさい、私はいつでも正気です…多分だけど
「三井が動く度に目がそっちに動いてたし、ね?」
「そういうわけじゃ…ただちょっと参考に出来たらなぁと思ってただけというか」
「さっきあんなに図星だったのに?」
「マジかー、よりにもよって三井か」
「三井なのか…」
「あの三井ねぇ」
見てたことは確かに否定しない、事実だ
事実なんだけど
別にそこに恋してるとかそういう理由は一切ない
ただただ純粋に自分にないものを沢山持ってる理想のような人だから何か参考にできるものがあればと思って
練習でも試合のように本気でぶつかりにいく先輩を見ていただけ…なんだけど
先輩たちは三井先輩の名前が出た途端私の顔と向こう側にいる三井先輩の顔を交互に見ては
頭を抱えたり、その場に膝から崩れ落ちたり、苦虫を噛み潰したような顔をしていた
こんな顔をしてる先輩も、こんなリアクションをしてる先輩も全部初めて見る
「(何があったんだろう…)」
201人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ピトリコ(プロフ) - 高校生ならではの会話が凄くリアルで惹き込まれました!これから最新話まで一気に読破します!素敵な作品に出会えてよかったです。 (2023年3月31日 20時) (レス) id: 36bff0e057 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - こちめるさん» 無理せず頑張って下さい!更新楽しみにしてます^^ (2023年2月10日 22時) (レス) @page50 id: 27c27c579a (このIDを非表示/違反報告)
こちめる(プロフ) - みみさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてとっても嬉しいです🥲 (2023年2月10日 0時) (レス) id: b38c8404b7 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - いつも楽しみにしてます^_^ (2023年2月9日 10時) (レス) @page50 id: 27c27c579a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:こちめる | 作成日時:2023年1月29日 20時