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2年生の先輩も1年生の同級生もいない
そんな私にとって3年生の先輩の存在は大きいものだった
自分の気持ちを上手く言葉にすることが出来ないから
いつも先輩にはなかなか言えずにいるけれど
こうしてくっついてきたり頬をつついてきたりちょっと独特な形で気にかけてくれるのが本当に嬉しくて
でも今日はひとつだけ気になるところがある
「あの…奈津先輩」
「んー?」
黒髪ショートで背が高くて目がクリクリで
本当にかわいくて綺麗な憧れの先輩
至近距離で見つめるのはかなり緊張するけど
それよりもまず聞きたいことが
「私、そんな恋してる女の子みたいな顔してました?」
「してる」
「ほんとにです?」
「頭の先から足の先まで見てもそう」
「…………自分じゃわかんないです」
出た、また"恋"とかそういう話
別に聞くのは嫌いじゃないしむしろ大好き
特に晴子ちゃんの楓を見つけた時の反応を横で見たり、楓に対する気持ちを聞くこととか
聞いてるだけで幸せになれるしいつか自分もこの気持ちがわかるようになるのかなと思うと少しワクワクするけど
かといって自分が誰かを好きになるのはとてもじゃないけど想像できない
「男バスに彼氏でもいるの?」
「いやいやいや、そんな…」
「2年の宮城くん?それとも…1年生のあの赤髪くんかイケメンで有名な流川くん?」
「全然そういうのじゃないですよ、大体楓のことは弟のようにしか見えてませんし」
「え〜!?勿体ない、私が流川くんだったら絶対Aのこと好きになるんだけどなぁ」
「楓は…多分そういうの全然興味無いと思いますし絶対ないです!絶対!」
「そう?」
「そうですよ!」
彼氏…彼氏かぁ
そういえば中学の頃のチームメイトに会った時
入学してまだ1ヶ月ちょいなのに彼氏が出来たとか言ってたなってぼんやりと記憶の奥に押し込めてた話を思い出した
相手は先輩で、一目惚れだったとかそういう話
本当に幸せそうでちょっと羨ましかった
人を好きになると女の子はあんなにかわいくなるんだね
「じゃあ……三井?」
耳元で囁かれる憧れの人の苗字
耳元で囁かれたからか、それとも話題が先輩だったからなのかゾワッと鳥肌が立って耳に熱が集まる
お昼の話もかなり効いてるはず
「えっ!?」
「わ、おっきいリアクションだね」
「先輩が急に驚かすようなこと言うからですよ…」
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ピトリコ(プロフ) - 高校生ならではの会話が凄くリアルで惹き込まれました!これから最新話まで一気に読破します!素敵な作品に出会えてよかったです。 (2023年3月31日 20時) (レス) id: 36bff0e057 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - こちめるさん» 無理せず頑張って下さい!更新楽しみにしてます^^ (2023年2月10日 22時) (レス) @page50 id: 27c27c579a (このIDを非表示/違反報告)
こちめる(プロフ) - みみさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてとっても嬉しいです🥲 (2023年2月10日 0時) (レス) id: b38c8404b7 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - いつも楽しみにしてます^_^ (2023年2月9日 10時) (レス) @page50 id: 27c27c579a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こちめる | 作成日時:2023年1月29日 20時