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3年前のあの日からずっと変わらず憧れていた人が
体育館という広くもあり狭くもある場所の
触れると少し痛い防球ネットの向こう側にいる不思議
あの日の自分はこの状況を信じてくれるだろうか
「三井サンは花道を見てくださいよ」
「おう、任せとけ」
「どうしよう2人がいるとはいえ三井さんに宮城さんが相手だよ」
「何をそんなに心配してるんだ君たち!この天才桜木に任せておけば…」
「余計なことはいいからさっさと自分の持ち場に着けどあほう」
「うるせぇ!オメーに言われなくてもわかってらぁ!!」
この高校に進学してバスケ部に入部したての頃は
比較的穏やかだった男バスも
今では宮城先輩に三井先輩が戻ってきてそこに桜木くんや楓が加わったことでかなり賑やかになっていた
戦力的にも部の雰囲気的にも大きく変わっている
全国制覇を目標に掲げるだけあって彼らの練習もこちら側に負けないくらい過酷なものだった
見てるだけでも疲れそうな、そんな練習が何時間も続く
「(桜木くんと楓がもう少し仲良かったらというか)」
「(あの2人に少しでもお互いを尊重する意識があったらきっともっとよくなると思うんだけどな)」
男子バスケと女子バスケではやっぱり迫力が違う
みんな背が高くて、ガタイがいいからかな
ずっと見ているとそのあまりの迫力に瞬きを忘れそう
「なーに見てんの?」
「奈津先輩」
「珍しいんじゃない?Aがこうしてぼーっとしてんの」
「すみません…」
「いやいや、怒ってるわけじゃないよ 横から見たらなんかかわいい顔してたから」
実際に瞬きを忘れるとまではいかなくても
かなり見入ってしまっていたのか
横で3年生の先輩が自分のことを見ていたことにすら気づかなかった
自分ではそんなつもりはなくても他の人から見れば相当のものだったのかもと思うとなんだか急に恥ずかしくなる
「私そんな顔してました?」
「してるしてる、まるで恋する女の子」
「あー、また奈津がAをからかってる」
「バレた?だってこの子かわいいんだもん」
「(続々出てきた…)」
後ろから抱きしめるように距離を詰めてきた
3年生でキャプテンの奈津先輩が
これでもかというくらい私の頬をつんつんとつつく
よく嫌われるからやめなと同じ3年生に止められてるけど
私はこうして学年関係なく先輩に接してもらえることがかなり嬉しい
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ピトリコ(プロフ) - 高校生ならではの会話が凄くリアルで惹き込まれました!これから最新話まで一気に読破します!素敵な作品に出会えてよかったです。 (2023年3月31日 20時) (レス) id: 36bff0e057 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - こちめるさん» 無理せず頑張って下さい!更新楽しみにしてます^^ (2023年2月10日 22時) (レス) @page50 id: 27c27c579a (このIDを非表示/違反報告)
こちめる(プロフ) - みみさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてとっても嬉しいです🥲 (2023年2月10日 0時) (レス) id: b38c8404b7 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - いつも楽しみにしてます^_^ (2023年2月9日 10時) (レス) @page50 id: 27c27c579a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こちめる | 作成日時:2023年1月29日 20時