#31 ページ31
・
「A〜!早くおいでー!」
先に体育館へ入った先輩たちに名前を呼ばれるA
バッシュにタオルに飲み物に
沢山の荷物を抱えながら体育館へ駆け込む
「よろしくお願いします」
髪を結び直す暇もなく、ボサボサ髪のまま体育館に入り
ぺこりと頭を下げたAが顔を上げると
「あ」
防球ネット越しに壁に背を預けて休憩中の三井と目が合った
ポカンと口を開けたまま三井を見るA
お昼休みに話したあの話題のせいでどんな気持ちで三井のことを見ればいいのかわからない
好きと憧れの違いは、境界線はどこにあるのか
Aはぎこちない動きで頭を下げ、まるでモヤモヤを隠すように
こちらに向かって手招きしている先輩の元へと走り去ってしまった
「ぷっ、三井サン振られてやんの」
「ばっ…は、はぁ!?何でそうなるんだよ!」
「やっぱりあんなことしたら女子にドン引きされるのも無理ねぇよなぁミッチー」
「うるせぇな…反省はしてるって言ってるだろうが」
「それが反省してる人間の態度かよ」
「つーか別に振られてねぇし!ただ今日会ったからおって思っただけだ!」
一部始終を見ていた宮城と桜木にこれでもかと言うほどからかわれる三井
一応こんな人でも先輩なのにここまでいじくられるのは三井の人柄か、それともこの2人がただただ生意気なのか
宮城に振られた振られたとからかわれた途端必死になって否定する姿が傍から見たらちょっと面白い
「でも分かるぜ三井サン、あの子のことが気になるのも」
「は?お前は彩子じゃねぇのかよ」
「そりゃオレはあやちゃんのことは好きだけども」
「ブッチーは人気者だからな…この天才桜木には劣るが」
「ブッチー?」
「花道が勝手につけたんすよ」
「ブッチーってこれまた独特なセンスだなお前」
「いやー!それほどでも!」
桜木に"ブッチー"と呼ばれるA
しかし三井はAの名前を知らないでいる
1年生か2年生なのは確実だし、宮城の反応からして2年生ではなく1年生であることも間違いない
チラッと女バスの練習風景に目をやると
ぎこちない笑顔を浮かべてたAが先輩に囲まれ歳相応の笑顔を見せているのがわかる
「変なあだ名つけるんじゃねー、どあほう」
「ルカワ!!」
「センスのねぇあだ名」
「いーんだよ!ブッチーは気に入ってくれてるんだからテメェには関係ねぇキツネ野郎!」
201人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ピトリコ(プロフ) - 高校生ならではの会話が凄くリアルで惹き込まれました!これから最新話まで一気に読破します!素敵な作品に出会えてよかったです。 (2023年3月31日 20時) (レス) id: 36bff0e057 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - こちめるさん» 無理せず頑張って下さい!更新楽しみにしてます^^ (2023年2月10日 22時) (レス) @page50 id: 27c27c579a (このIDを非表示/違反報告)
こちめる(プロフ) - みみさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてとっても嬉しいです🥲 (2023年2月10日 0時) (レス) id: b38c8404b7 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - いつも楽しみにしてます^_^ (2023年2月9日 10時) (レス) @page50 id: 27c27c579a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:こちめる | 作成日時:2023年1月29日 20時