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「もう過ぎたこと言うのもあれだけど…あの時ショックじゃなかった?」
あの時、というのは少し前の
三井たち不良グループによる男子バスケ部襲撃事件のこと
Aの幼馴染みである流川と同じバスケ部である桜木の良き友人、水戸洋平たちが機転を利かせてくれたおかげで
なんとかそこまで大事にならなかったのだが
あれは下手すれば部活動停止か廃部、出席停止処分など然るべき対応をされていたかもしれないほどの事件だった
「自分がかつて憧れた選手があんなことしてたらって思うと」
たまたま巻き込まれただけだった
ただそれだけの話
流川や同じバスケ部の面々が殴られた時はどうしようかと焦ったが
やがて3年生の部員のひとりである木暮から語られた三井の話を聞いた時、他人事のようには思えずにいた
「確かにビックリしたし、悲しかった」
「チームメイトでもなんでもないしましてや名前も教えたわけじゃない、先輩からしたら知らない奴かもしれないけど」
「バスケット辞めちゃってたんだって、色々思うことはあったよ」
スカートの上からそっと膝に手を置いて
揺れる瞳を隠すようにやや下に目を向けた
膝はバスケット選手にとっては大事な生命線
1度でも壊してしまったら怪我の程度にもよるが復帰は絶望的という考えが嫌でも脳裏をよぎるだろう
ただ楽しみたくて、ただ遊びの延長でやっていたのなら
そこまで深刻には受けとめなかったかもしれない
でもきっと彼は違う
将来を期待されていたことも、まだまだこれからだった事もきっと誰よりも感じていたはずだ
周りがどんどん成長していく中で自分はただ1人置いていかれるだけで
さらには当たり前だった大好きなバスケットが突然自分の手から取り上げられる
これほど孤独で辛いことはないだろう
「確かにやった事はどうかと思うけど」
「……なんとなく気持ちはわかるから」
永遠なんてあるわけないのにみんな永遠を信じて疑わない
夢を追う代償は残酷すぎていく時間
焦っていく気持ちも、忘れたくても忘れられなかった気持ちも痛いほどわかる
「でも今こうしてバスケやってる先輩がまた見れてよかった」
「私が憧れた時と全然いい意味で変わらないんだもん」
いつかまた会えたらと思っていた
それが今頃になって叶った
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ピトリコ(プロフ) - 高校生ならではの会話が凄くリアルで惹き込まれました!これから最新話まで一気に読破します!素敵な作品に出会えてよかったです。 (2023年3月31日 20時) (レス) id: 36bff0e057 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - こちめるさん» 無理せず頑張って下さい!更新楽しみにしてます^^ (2023年2月10日 22時) (レス) @page50 id: 27c27c579a (このIDを非表示/違反報告)
こちめる(プロフ) - みみさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてとっても嬉しいです🥲 (2023年2月10日 0時) (レス) id: b38c8404b7 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - いつも楽しみにしてます^_^ (2023年2月9日 10時) (レス) @page50 id: 27c27c579a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こちめる | 作成日時:2023年1月29日 20時