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「ねぇ!!聞いてよ!!」
授業が終わった瞬間
椅子を後ろに向けてまだ夢の中に居そうな彼に声をかける
きっと彼のことだからさっきまで居眠りでもしていたのだろう
「そんなに大声出さなくても聞こえてる」
「嘘だ、じゃあさっき私なんて言ったのよ」
「…………………朝練でシュートを5本外した」
「間違ってないけどそこじゃない!!」
綺麗な黒髪に色白な肌、切れ長な目を縁取る長いまつ毛
誰がどう見ても顔の整った男を前に
Aは手作りのパウンドケーキを頬張りながら熱心に話しかけている最中であった
「いつ三井先輩がバスケ部に復帰したのって話!!」
朝練の時のたどたどしい話し方のAは一体どこへ行ったのか
話の内容は朝練の時に突如として現れたAの憧れの存在で気づいたらバスケ部に復帰していた三井のこと
朝のホームルームが終わり授業開始から3時間が経過してるが考えることはひたすら三井のことばかりで
思い出すのもあの爽やかすぎる笑顔だった
むしろあの顔を見たら少し前までグレていた時の顔が思い出せないくらいには今日の朝の光景が強く焼き付いている
「おととい」
「どうして教えてくれなかったのよ」
「関係ねーだろ」
「あるもん」
正直Aの話すことはどうでもいい
男は溜息をつきながら再び机の上に伏せ静かに目を閉じた
いくら寝ても眠いもんは眠い
寝て起きたら部活の時間になっていないかと思ったが
当然そんなことはなく、目を開ければいつも目の前には花渕Aがいるわけで
「あ!起きてよ楓!!」
バスケ部期待のエース 流川楓を下の名前で楓と呼ぶ人間なんて彼女くらいだろう
寝起きの悪い彼の腕を容赦なく引っ張るのも
餌付けして何とか叩き起こそうとするのも彼女くらい
何を隠そう、この2人は小学生の頃から一緒の幼馴染み
Aがバスケを始めるきっかけとなったのは彼の存在だ
たまたま家でシュート練習をする流川の姿を見た単純なAはすぐに流川の真似をしてバスケを始めたのだった
今思えば本当に理由が単純すぎた。
「うるせー、そんなに気になるなら先輩に直接聞きゃいいだろ」
「楓はなんにも分かってない!」
そして彼はいつも
幼馴染みの一方的な恋バナのような何かに巻き込まれている
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ピトリコ(プロフ) - 高校生ならではの会話が凄くリアルで惹き込まれました!これから最新話まで一気に読破します!素敵な作品に出会えてよかったです。 (2023年3月31日 20時) (レス) id: 36bff0e057 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - こちめるさん» 無理せず頑張って下さい!更新楽しみにしてます^^ (2023年2月10日 22時) (レス) @page50 id: 27c27c579a (このIDを非表示/違反報告)
こちめる(プロフ) - みみさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてとっても嬉しいです🥲 (2023年2月10日 0時) (レス) id: b38c8404b7 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - いつも楽しみにしてます^_^ (2023年2月9日 10時) (レス) @page50 id: 27c27c579a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こちめる | 作成日時:2023年1月29日 20時