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颯一郎side
暫くすると、俺の腕の中で震える彼女。
声を押し殺して涙を流していた。
俺はそんな彼女に特に言葉をかけることもなく、
ただ背中を優しく叩いて
周りから見えないようにぎゅっと抱き締めた。
こんな時、我ながらデカい体でよかったと思う。笑
「ごめんなさいっ…私、皆さんのお役に立てなくて…」
「何言ってるんですか。寧ろ十分すぎるくらいですよ。笑
…あと、無理に言わなくてもいいんですけど出来れば
俺に何があったのか、教えてくれますか?」
出来るだけ優しく、Aさんに話すと
落ち着いた様子の彼女が頷いて、ゆっくり口を開いた。
「最近また周りの目に敏感になっていて…。
正直オリックスに来た当初もそうだったんですけど、皆さんと過ごしていくうちに自然と気にならなくなっていたんです…。
ふとそんな声を聞いて…自信がなくなって、
罪悪感と不安だけが募っていくんです…」
辛そうに、また泣きそうになりながら一生懸命話すAさんを見たら、こっちまで辛くなってきた。
それと同時に、俺自身も罪悪感に苛まれる。
こんな小さい体で、そんな大きな不安と恐怖を抱えて俺らのために働いてくれる彼女に、ずっと気付けなかった。
Aさんがどれだけ俺らのことを知っていても、
俺は彼女について、なんにも知らなかったんだ
「…Aさん。
その罪悪感は、誰に向けてですか?」
「それは……ファンの方々、です」
「なんで?」
「…ろくに働けないのに、選手の方々に対して馴れ馴れしかった「そんなことない」
俺の力強い言葉に、赤くなった目を丸くするAさん
「Aさんはめちゃくちゃオリに貢献してくれてる。
現にAさんに救われた人はたくさんいます。
俺だってそのうちの一人ですから。
働けないなんて、そんなの嘘です。
あと、馴れ馴れしくなんかもない。
逆に俺らがグイグイ過ぎるんですよ。笑
…だから、
もうAさんが悩むことは、何もないんです」
俺は君の泣き顔なんて見たくないから
「っ…ありがとうございます、」
その綺麗な笑顔を、また見せて
出来れば俺だけにして欲しいだなんて、絶対言わないけど
.
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SFF(プロフ) - shireyさん» そう言っていただけて感謝感激です!🥺 (1月31日 9時) (レス) id: dc6e40d3df (このIDを非表示/違反報告)
SFF(プロフ) - Lemon!?さん» よかったです!ありがとうございます!🥲 (1月31日 9時) (レス) id: dc6e40d3df (このIDを非表示/違反報告)
SFF(プロフ) - さやさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます🥹🥹 (1月31日 9時) (レス) id: dc6e40d3df (このIDを非表示/違反報告)
shirey(プロフ) - お話待ってました✨✨🥺🥺🥺 (1月30日 19時) (レス) @page40 id: dfc3189701 (このIDを非表示/違反報告)
Lemon!?(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!続き待ってます😆 (1月11日 3時) (レス) @page38 id: 1d8fe9d267 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:SFF | 作成日時:2022年10月3日 19時