オリのマネージャーさん 2【オリックス】

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Aside





「二軍に近本おるんや！」


「怪我らしいで。木浪も糸原もおるわ」


「ほんまや！俺らラッキーやなぁ」




私が今いるファーム球場は、一軍で使う球場より規模が小さいため、ファンの方たちとの距離は物理的に近くなる。


だからこうしてファンの方々の会話も普通に聞こえる。



盗み聞きみたいだけど、ファンの方々の話を聞くのは

意外と楽しくて、少しだけ楽しみの一つ。





「ファースト小野寺なんや。キャッチボールしてぇ」


「僕江越のホームラン見たいな」




阪神の二軍のホーム球場である鳴尾浜だからか、

どこも阪神の話題ばかりで新鮮。




そう思っていた時





「なぁなぁ、あれ誰？」


「あそこにいる女の人？スタッフやろ」



声のした方をチラッと見ると、

女性ファンの方が私の方を見てこそこそ話していた。


視線が向けられていることに緊張して、咄嗟に顔を戻した。





「ええなぁ。選手とめっちゃ距離近いやん」


「選手目当てなんとちゃう？笑」


「うわー職権濫用とか最低やー」


「ほんまそれな！」





ズキっと締め付けられるように痛む胸




さすがに反論するわけにもいかず、


悔しくて、ただただ悲しくて



やり場のないこの思いを、ぎゅっと拳を込めた。




何事も、賛否両論わかれるように


認めてくれる人もいれば、そうでない人もいる




それがわかっていても私は、




















｢選手も選手やない？


あんなのに簡単に騙されて｣





私じゃなくて、選手のことを悪く言われたとき



もっと胸が苦しくなって







私のせいで




あんなに優しくて温かい皆さんが……














｢あ、吉田さん！


この前のスケジュールのことで少し相談が…｣






ここでタイミング悪く、野口選手が私のもとに来る。


そしてまた突き刺さる視線





また何か言われるかもしれないという恐怖



公私混同なんて一番駄目だとわかっていても









｢ご、ごめんなさい。後でお願いします｣


｢え？｣


｢では…｣







選手は何も悪くないのに









私は弱虫で、臆病で






＿＿＿＿最低だ



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