WN ─── GAME START ─── ページ6
静かに本を読む時間を邪魔されるのは、大嫌いだ。
本を読んでいる間は本の世界に居たい。文字を目で追いながら、その風景を想像して……。
そんな時間が好きなのに。
「ウォヌ氏〜本読むのもいいけど、たまには構ってよ〜」
WN「……うるさい。」
「あ、ひどーい！」なんて言いながらも、嬉しそうな表情をする彼女。……酷いなんて1ミリも思ってないだろ。
彼女は福田A。
うちの大学に通っている。日本からの留学生らしい、そんなAとは大学内の図書室で会った。
A曰く「私も本大好きだよ！」とのことだが、生憎、俺はAが本を読んでいる所を一度も見たことがない。
それに、俺の読書時間も邪魔してくる……。なんともにわかには信じがたい話だ。
「どうして無視するの〜！」
WN「……」
「駅前にクレープ屋さんが出来たの知ってる？この間ね、チョコのクレープ食べたらさ……見てよこれ！」
俺に向けたスマホの画面には、真っ白のパーカーにチョコソースがべったり付いたAの写真。
「走ってきた子供にぶつかっちゃって……べったべたになってさー！」
ふふふ、なんて笑って見せるAを横目に目の前の文字を追う。本を読んでいてよかった。……だって、本を読んでいなかったら口角が上がったのがばれてしまうから。
「冷たいな〜……本に嫉妬しちゃいそう！」
結局その日も俺が本を読み終わるまでAは一人で喋っていた。話続けてくれるのが少し嬉しかったりするのは、俺しか知らない。
.
けれど、その日を境にAがブックカフェに現れることはなくなった。
静かに本を読めるから良いじゃないか。そう思っても、心のどこかで寂しさを感じていた。
WN「傷つけた、かな……」
MG「Aちゃんのことでしょー！」
WN「！？」
一体何時から居たのか、何て言う暇もなくミンギュは話を続けた。
MG「ヒョン、この間ジョンハニヒョンと一緒に帰ったでしょ。Aちゃん、勘違いしてるよ。」
WN「別に、勘違いされたからなんだよ……。」
そう言ってみせるけれど、実のところ嫌われてなくてよかったと安心している真っ最中だ。
ミンギュは数秒俺をじーっと見つめたかと思うと、呆れたように「ヒョンってば素直じゃないなー」と言う。
……バレバレみたいだ。
MG「早く解きに行きなよ、誤解」
ミンギュにそう言われて、首を縦に振ると「お礼はまた今度でいいから！」と、ちゃっかりしているところがミンギュらしい。
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作者名：チルソン | 作成日時：2023年3月2日 3時
