JH ─── 天使と悪魔 ─── ページ2
JH「A〜？起きて〜」
「ん〜……あと、5分だけ〜……」
軽く揺さぶられながら、霧が掛かったような朦朧とした意識の中でそう答えた。
薄く開けた目には背けたくなる程明るい朝の日射しと彼氏のジョンハンが見えた。……目がぼやけてジョンハンが二人に見える。
JH「起きろって。約束忘れたの？俺との？見上げた根性だね……？」
「朝から鬱陶しいな、もう……」
先程の優しい様子とは打って変わって、怒気が含まれた喋り方をするジョンハン。あまりにも私が起きないから気を悪くしちゃったのかなと、まだ寝たい気持ちをぐっと堪えて気だるげな体を起こす。
上体を起こして右を一見。純白の、シワひとつないシャツを着たジョンハンがそこには居た。
「ごめんね……？怒らせちゃった？」
JH「やっと起きた〜！怒ってないよ、だからほら、早く用意しよ！」
まだ霧掛かった頭の片隅で、そう言えば今日はデートする約束してたっけ……。と、微かに覚えていた記憶を掘り起こす。
それにしても、優しくなったり、怒ったり、今日はいつにも増して情緒不安定だな……。
JH「起きるの遅いんだけど？」
「……ん？」
出そうだった欠伸が思わず吹っ飛ぶくらいの目の錯覚。
白いシャツを着た、満面の笑みを浮かべたジョンハンが私の腕を掴んでいる。
そして、もう片方の腕を掴んでいるもう一人とは対照的な漆黒のシャツを着たジョンハンが不機嫌そうな表情を浮かべた。
どっちが本物だろう。それともまだ夢の中……？
そう思って目を擦ったり、頬をつねったりしてもジョンハンは一人になりやしない。ずっと二人のまま。
白JH「やー！そんな乱暴におめめ擦ったらダメ！」
黒JH「一人で何してんだよ……」
確かに、二人分の声と姿を私は確認した。今見ている景色が現実であることも確認した。
「な、な……ジョンハンが二人！？」
白JH「ジョンハンの天使の方だよ〜！」
黒JH「悪魔の方だけど。何？虐められたいの？」
大変だ！私の彼氏が！ジョンハンが天使と悪魔に分かれてしまった！
.
「……って夢見て遅刻した。」
JH「へぇー。……もうちょっとマシな言い訳無かったワケ？それとも何、Aは俺に物理的に二つに分けられたいの？」
目が笑っていないジョンハンの冗談はとても冗談に聞こえず、流れるような土下座を決めました。
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作者名：チルソン | 作成日時：2023年3月2日 3時
