うきわ3 ページ35
桃side
『浮気』
実際言葉で言われると、ダメージが大きい。
もしかしたら、俺が浮気相手の方かもって。
今日は俺の方が早出。
開店と同時に指名が入って直ぐにテーブルにつく。
最近ではヘルプも新人さんが入ってきた。
ちょっとぎこちないけど、
そこは俺が何とかフォローしてあげなって頑張るけど、
今日は上手いこといかへん。
自分のとこで手一杯…
あかんな。
No.2やのに。
店内が満席になってきた頃、
流星が出てきて、より一層騒がしくなった。
流星は同性にも異性にも人気。
てか、スタッフからも。
イケメンなんは見ての通りで、
無口やけど、気が利くし、
気遣いがすごいし、話をめっちゃ聞いてくれるし。
これはホンマにちゃんと聞いてるかわからんけどな。
でも、聞いてるねんな…
そゆとこがずるいねん。
俺が初めてヘルプ付いたんも流星の席やった。
この人には勝たれへん。
それが初めての流星の印象。
てか、流星ってホンマに何考えてるかわからんねん。
今日も、ここ来るまでどこおったん？
既に、髪の巻が緩んでるんわかるで。
席変わる時にすれ違う。
狭い通路で、小指と小指絡めるんが俺らの秘密。
でも、それを、今日は、避けてしまった…
振り返ることもできへんから、
流星の顔がどぉやったかなんて見てない。
俺は今日も俺の仕事をまっとうした。
｢お疲れ様でーす｣
(ノンちゃん、明日休みやろ？
今日ホンマに申し訳なかった！)
｢いえいえ！
稼ぎになるんやったらなんぼでも出ますよ！｣
この界隈では結構ホワイトでフランクなんかな。
早出やったから閉店までに帰れるんやけど、
結局指名多くて閉店ギリギリまでおった。
それは別にいいねん。
俺を指名してくれる人がおるってことやし、
お金にもなるから。
いつか、将来、流星と2人で海沿いの街でカフェ開くのが俺らの夢。
まあ、もっとおじいちゃんになってから、とか。
そんな長いスパンでの夢やけど。
でも、流星が俺を捨てるんやったら、
もう、その夢も、終わりかな。
せやったら、1人でも開けるように、
俺1人でいっぱい稼がなあかんな。
緑｢のんちゃんおはよう！｣
｢おはよう、ともくん｣
赤｢あ、はよ｣
｢おはよう。
しげ、寝癖ヤバいけど、それで幼稚園行くん？｣
赤｢お前も似たようなもんやで｣
緑｢しげ！よーちえんおくれる！｣
赤｢はいはい｣
なんや、朝から微笑ましいて、涙出てくる…
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作者名：ななはち
| 作成日時：2021年6月28日 7時
