うきわ2 ページ34
赤side
私服、派手なTシャツに、短パンという、
俺にはわからんセンスに着替えてきた。
緑｢おまたせ。
のんちゃん、だいじょーぶ？｣
桃｢ん、だいじょーぶやで｣
そう言って、小さい頭にでっかい手を乗っける。
大人って、みんな｢大丈夫｣を多用するよな。
緑｢さびしい？｣
桃｢…ん？
なんで？｣
緑｢のんちゃん、いっぱいおさけ、のんでる｣
確かに、いつもは綺麗な部屋が散らかってる。
それと。
緑｢りゅーせ、いないね｣
流星がおらん。
桃｢仕事、ちゃうかな｣
｢同じ職場ちゃうん？｣
桃｢そう、やけど。
知らんもん。
全然会ってないし…
一緒に住んでるのに｣
更に表情が暗なる。
桃｢りゅうせっ、
女の人が良くなったんかもっ。
おれっ、は、いらんくなっちゃったんやってっ。
りゅうせい、元々、モテるしっ、
今までも彼女いっぱいおったしっ、
おれ、俺なんかっ｣
泣きじゃくりだした。
目の前のこいつは、
小瀧が泣く姿を見てじっと固まってしもてる。
緑｢…うきわ？｣
…………？
桃｢浮き輪？｣
｢なんやそれ。
プール行きたいんか？
銭湯の風呂も怖いくせに｣
緑｢ちゃう！｣
うきわ…うきわ、、、
｢…浮気？｣
桃｢っ！！
やっぱり流星、浮気、してるんや！｣
｢あ！いや！
そうと決まったわけや！｣
橙｢なんやと！！！！｣
｢うわ！桐山さん！？｣
橙｢あいつ、浮気しとるんか！？｣
黄｢それはアウトやな｣
桃｢いや！
浮気、というか、証拠はないんやけど。
最近全然帰ってこうへんし、
俺と同じ職場やのに、
出勤前にどっかいってて、
同僚と話してるの聞いてたら、
ひと仕事終えた、みたいな。
俺らの店は、アフターとか、店の外で会うの禁止やから、
もしかしたら、違うかも、やけど、
最近もっと指名量増えてて、｣
橙｢１回あいつしめるか｣
黄｢照史…｣
橙｢淳太君、止めんでくれ｣
黄｢いや、やったろ｣
橙｢え、あ、乗り気やん｣
黄｢のんちゃん、俺も気持ちわかるから｣
桃｢ううぅっ。
淳太ざあ"ん"｣
橙｢…俺は何があっても離さへんけどな｣
桐山さんの言葉は2人に届いてたんやろか。
小瀧を包み込んでる大家と、
それを包みこもうとしてる小さい体。
緑｢ともくんも、オトン、うきわやった。
うきわはあかんことよ。
オカン、いっぱいないてたから｣
そうか、こいつも、なんや色々経験してんねんな。
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作者名：ななはち
| 作成日時：2021年6月28日 7時
