おべんとう ページ32
桃side
ｺﾝｺﾝ
朝早くに鳴ったのは、
インターホンやなくて、ドアを叩く音。
まだちっちゃくてインターホンまで届かへんとも君が来た合図。
｢おはよう。いらっしゃい｣
緑｢のんちゃん！おはよう！｣
寝起きはあんまり良くないって聞いてたけど、
今日はニコニコして、
ワクワクした様子。
制服のジャケットは着てなくて、
シャツを腕まくりしてる。
幼稚園はお弁当の日と、給食の日とあるらしくって、
お弁当の日は俺と一緒に作ろってなった。
指名ってやつやな。
とも君用のエプロンも買ってあるから、
それと俺もエプロンつけて、
いざ料理開始。
今日は流星帰ってきてない。
なんやねん。
俺にはアフターあかんとか言うときながら…
緑｢のんちゃん？｣
｢ん？
あ、できた？
じゃあ、のりをこれに挟んで、ガチャンしてください｣
緑｢はーい｣
右手上げて元気よく応えてくれるとも君は世界一かわいい。
緑｢いってきます！｣
｢行ってらっしゃい｣
緑｢あ！しげ！｣
赤｢おう、行くぞ｣
とも君が行っちゃうと、
また部屋に1人。
流星、いつ帰ってくるん？
のん、1人、イヤや。
結局その日の夕方に俺が出勤するまでも帰ってこんかった。
なんなら、店行ったらもうおったし。
なんなん。
青｢あ、望、おはよう｣
｢…はよ｣
青｢…今日、智洋のお弁当の日やなかったっけ？｣
｢え？
そうやけど、なに？｣
青｢いや、インスタ。
あがってへんかったから｣
いつもは、3人分作って、
1人分だけ写真に撮ってインスタにあげる。
料理男子も結構話のネタになるし。
それをチェックされてたとは…
｢忘れてた｣
青｢疲れてる？｣
｢別に｣
顔を覗き込んで、
首に手を当てようとした流星を避けてまう。
(ノンちゃーん、ちょっとええかー)
｢はーい！｣
ボーイさんに呼ばれて控え室から逃げるようにして出てきてしもた。
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作者名：ななはち
| 作成日時：2021年6月28日 7時
