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淳太先生も少しだけ言うてくれるようなったって喜んでた。
比較的落ち着いてる時は、
淳太先生の抱っこでも大丈夫。
月曜日、金曜日は俺。
｢智洋君｣
｢せんせ、ぎゅーして｣
｢うん、ええよ。
ぎゅー｣
俺にしがみついてる。
離さないって小さい体で必死に服を掴んでる。
首筋に顔を埋めるから、
ちょっとくすぐったいねんけどな。
最近は梅雨が早く終わる。
6月やって言うのにめっちゃ暑くて、
もうすぐ7月、智洋君の誕生日が近づいてきた頃。
｢大毅先生、ちょっとええ？｣
上がりの時間に呼び止められる。
｢智洋君の事やねんけど｣
ひそひそ話す所長。
｢明日、児相に来てもらうから｣
｢え、｣
4月に入ってすぐ、
智洋君のおじいちゃんが亡くなられた。
その頃から、智洋君の体に異変が見られるようになった。
そこから話は進んで、
智洋君は保護された。
昼休みの、智洋君のお迎えが来る前に。
｢智洋君、｣
｢せんせ｣
｢おいで｣
ぎゅーって俺にしがみついてる。
この子を親と離さなあかん。
でも、俺が離したくない。
そんな私情、全くもって、ダメな感情。
児相の人に引き渡そうとしたら。
｢いやっ、いやっ、ややっやあ"！
せんせ、せんせえっ、やあ"ー！｣
泣きじゃくりながら俺にしがみついて、
離そうとしない。
色んな大人が来て、話して、
結局、智洋君は寝てる間にってことになった。
俺が不安定になった智洋君を抱っこして、
安心させながら寝かせた。
指を吸いながら、
小さな痩けた頬には涙のあと。
俺の服をこれでもかと握ってる。
物凄い強い力やったけど、
パーカーを脱げば、それも離れた。
｢パーカーは持って行ってください。
多分、今離したら起きてまいます｣
智洋君とパーカーは、車に乗って行ってしまった。
｢くそっ、くそっ｣
やりきれなさ。
｢なんでっ｣
智洋君を守ってあげられなかった。
いや、保護されたんは守ったんかもやけど、
お母さんも一緒に助けてあげたかった。
自分の無力さに保育士を辞めたかった。
それでも、淳太や周りの先生のサポートで、
何とか立ち上がって、
何人も子どもを小学校へ送り出した。
淳太が独立して、
民間の保育所を建てた。
俺や照史、�陲舛磴鵑�引き抜かれて、
淳太は理事側に回って、
みんなで新しい保育所をつくった。
ある土曜日。
子どもらのお昼寝の時間を利用して、
玄関の落ち葉掃きをしてたら。
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作者名：ななはち
| 作成日時：2024年3月8日 19時
