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｢美味しいなあ｣
一緒に同じ給食を食べながら、
噛んで飲み込めるようにする。
ご飯の後は着替え。
｢智洋君、服ないわ｣
｢おけ｣
貸出の服を出す。
2日に1回のペースでこれ。
少しずつ話し合いを進めて、
おじいちゃんとおばあちゃんには既に報告済。
お母さん、つまり娘さんには話しているらしい。
改善されない現状。
所長とも話して、児相に連絡入れようかって話も出ている。
着替えの後はお昼寝。
みんなが寝てから、
事務所で会議。
智洋君のネグレクトに関して。
さっき、部屋を出る前に寝てる智洋君を見ると、
指吸いをしてた。
愛情が足りないんかな。
あの子に愛情を渡したい。
｢智洋君のためにも、判断は早い方が｣
｢そうやね｣
｢その前に、お母さんともう一度お話させていただきたいです｣
｢重岡先生、連絡取れる？｣
｢なんとかこじつけます｣
｢ぞう組さん、おはようございます｣
『おはよーございます！』
4ヶ月後、俺は年長組担任になった。
3ヶ月で、智洋君の親と話せたのは1回だけ。
その後も経過観察として、
気にかけながら過ごした。
智洋君は片親で、お母さんも忙しい中、
初めての子育てに奮闘してるんやって、労りながら、
一緒に頑張ってきた。
周りと同じくらい、智洋君に愛情を注いで保育してきた。
｢大毅先生ー｣
｢はーい｣
｢すみません、今日不安定みたいで｣
｢わかりました。
智洋君、おいで｣
少しずつ安定して、年中になった智洋君。
今年の年中組は、
持ち上がりで淳太先生が受け持つことになった。
実は智洋君のことを考えて、
俺も年中組担任の候補やったけど、
様々な理由から外れた。
それでも不安定な日は、どうしてもダメで、
俺の抱っこやないと取り乱してしまうという。
年長組には、サポートで照史先生が入ってくれてる。
これ、サポート入るなら、俺が年中担任の方がええんちゃうん？
所長に頼もかな。
所長が変わってしもて、
新体制やから、色々わかってなかったんや。
あーでも、そしたら、年中が回らんなるか？
智洋君を抱っこしながら、
年長組さんと遊んでいく。
せめて、すこやか担当のパートさんにも懐いてくれたら・・・
｢だいきせんせ、｣
｢どうしたん？｣
｢おなか、すいた｣
最近、自分の要望を伝えてくれるようになった。
家で甘えられへん分、
俺が甘やかしてあげたい。
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作者名：ななはち
| 作成日時：2024年3月8日 19時
