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今もずっと所庭の端で、
何も無い道路を眺めてる。
｢とーも君｣
隣にしゃがんで声をかける。
｢・・・・・｣
俺をじーっと見る。
7月生まれの智洋君は、
望君や流星君、春夏生まれのみんなより、
冬生まれの子よりも全体的に発達が遅め。
真冬に、薄い長袖1枚。
下着もなし。
オムツは取れてない。
保育所の上着を貸してるけど、
幼児用やから、大きいのが目立つ。
グレーゾーンって、色んな意味でかな。
発達障害と共に、ネグレクトの可能性も疑わなあかん。
｢ゴミ収集車来るかな？
昨日は青色が来てたけど、今日は何色が来るんやろ？｣
言葉を理解してるのかはわからへん。
緑色の上着を指して。
｢緑色のゴミ収集車が来るかな？｣
自分の青色ジャージを指して。
｢青色のゴミ収集車が来るかな？｣
そうすると、自分の上着を見て、自分で指を指した。
｢緑色のゴミ収集車が来るかな？｣
と、その時、奥から車の音。
緑色のゴミ収集車が来た。
智洋君は俺の事をじっと見つめた。
｢すごいなあ。
智洋君わかってたんや。
物知りやな？｣
ニコって、少しだけ顔が綻んだ。
ここ3ヶ月で育んだ愛着関係。
少しずつやけど、
俺にこの顔を見せてくれるようになったんが1週間前。
｢そろそろ片付けて、部屋戻るか｣
｢せやな｣
｢ぺんぎん組さーん。
お方付けして、お部屋戻ろかー｣
｢淳太先生、俺が中見るわ｣
智洋君と手を繋いで、
部屋に戻る。
中に入ってきた子どもの受け入れ。
クリスマスのお手紙を書いて、
やりたい子は、クリスマスツリーに貼る折り紙をおったり、
好きな遊びをしたり。
智洋君は俺の隣を離れへん。
一緒にお手紙を書こうとしたけど、
何が欲しい？って聞いたら。
首を傾げるだけ。
｢おもちゃくださいって書く？｣
ぱちくりと、1回大きな瞳を瞬かせた。
一緒に鉛筆を持って、
お手紙を書いていく。
お昼ご飯の時間。
望君はおかわりしてる。
流星君は既に眠そう。
あの子、普段何時に寝てるんや？
妹さんおってお母さんも忙しいんかな。
智洋君は食べっぷりがいい。
｢カミカミしてや？｣
入所当初は手掴みで食べてた。
俺や淳太が常に隣について、
スプーンとフォークで食べられるように指導して、
やっと上手持ちでスプーンを持てるようになった。
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作者名：ななはち
| 作成日時：2024年3月8日 19時
