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｢望、はよ荷物取っといで｣
｢重岡先輩・・・｣
実は、俺が密かに中学生の頃から想ってる先輩。
そんな人が、目の前に・・・
｢なあなあ、りゅーせーのおにいちゃん｣
｢ん？｣
荷物を持った望君が、
俺んとこに一直線。
ちなみに流星は、ゆっくりやから、
まだ向こうで歩いてる。
｢のん、りゅーせーといっしょにかえりたいねん｣
｢んー、｣
｢ほら、望、迷惑してるから｣
｢あ、いや、迷惑ではないんですけど。
逆に、流星歩くの遅いし、
重岡先輩と望君がいいのかなって｣
焦るしかない。
｢俺は大丈夫やし、望から誘ってるから、
多分そこは心配いらんけど｣
流星のベビーカーをとって門を出る。
｢流星、乗る？歩く？｣
｢あるく｣
保育所2日目で疲れてるやろうに、
望君と流星が手を繋いでる後ろ姿は、
めちゃくちゃかわいい。
｢あの、写真、撮ってもいいですか？｣
可愛い後ろ姿をおかん達にも見せてあげたい。
｢あ、ええよ｣
隣を歩く重岡先輩の顔も、
愛おしいものを見るような優しい顔。
やっぱり、かっこいいな・・・
｢かわい｣
｢ですよね。
ホンマに、可愛い。
歳が離れてると尚更｣
｢神山君にこんな小さい弟君おるとは思わんかったわ｣
｢僕もです。
重岡先輩、弟さんいらっしゃったんですね｣
｢生意気な弟な｣
急に前を歩いてた流星と望君が止まった。
｢流星、どうしたん？｣
｢りゅーせー、つかれちゃったんやって｣
｢そっかあ。
流星、ベビーカー乗ろ？｣
｢だっこ｣
両手を伸ばして俺を見上げる。
｢わかった｣
2日目頑張ったしな。
片手で流星を抱っこして、
もう片方の手でベビーカーを押そうとしたら。
｢俺押すで｣
｢え、でも、先輩、こっから下にくだるんじゃ、｣
｢え、なんで知ってんの？｣
｢あ、その、中学、南中学やって聞いてたから｣
｢そっか。
そうやけど、多分こいつも｣
｢りゅーせーのおうちまでいく！｣
｢ほらな。
こいつ言い出したら聞かんのよ。
無理やりしたら泣き叫ぶねん｣
｢じゃ、じゃあお言葉に甘えて・・・
荷物、置いてくださいね｣
｢ありがとう｣
｢いえ！こちらこそ｣
荷物をベビーカーに置いてもらって、
家まで送ってもらってしまった。
歩いてる間に流星は寝てしまってて、
一気に重なってる。
｢あの、ありがとうございました！｣
｢いや、ええよ｣
｢にいちゃんだっこ｣
望君がそう言って、
重岡先輩に抱っこされる。
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作者名：ななはち
| 作成日時：2024年3月8日 19時
