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ご飯の時間。
お箸を使える子が増えてるクラスやけど、
智洋君はスプーンを一生懸命練習中。
｢あ、｣
1人の子がお味噌汁をこぼしてしまって、
そっちに対応してたら。
｢あかんねんで！｣
急に響いた声。
びっくりして、そっちの方に顔を向けると、
智洋君が下を向いてた。
｢ど、どないしたん？！｣
｢ともひろくん、おはしつかってないねん。
スプーンつかってる。
しかもバキューンでもってないねん。
グーでもったらあかんねんで！｣
そうゆうことか。
言われてる智洋君は、
ギュッと手を握って下を向いてしまってる。
多分、びっくりしたんと、
言い返せない気持ちと、
できなくて悔しい気持ちと、
ごちゃごちゃな気持ちがいっぱいなんやろな。
やってしまったな。
もう1人、先生を呼んでおくべきやった。
智洋君のことは、みんなに説明したつもりやったけど、
スプーンを使ってる子もまだおるし、
そこまで正義感溢れる言葉が出てくるとは考えられへんかった。
て、ここで反省してても意味が無い。
これはまた反省として生かそう。
まずは対応。
｢智洋君はな、スプーンの練習中やねん｣
｢なんで？｣
｢セナ君も練習したやろ？｣
｢でもあひるぐみさんのときにれんしゅーしたで？
もうきりんぐみさんやもん。
グーでもつのもあかんっていわれたもん｣
｢うん、せやな。
でもみんなそれぞれやから、
セナ君も出来へんことあるやろ？｣
その時はそれで終わった。
とりあえず、これからやなって。
みんなに知ってもらおうって思った。
お昼寝の時間。
みんなが寝静まったくらいで、
隣の部屋から泣き声が聞こえてきた。
｢すみません、照史先生｣
｢はいはい｣
｢大毅君が、｣
あーって、ほかの先生にここを任せて、
大毅君を受け取りに行く。
｢大毅君、大丈夫やで｣
｢ﾝｸﾞｯ、ﾋｯｸ、、｣
｢大丈夫よ｣
背中をトントンしながら、
保育所内を散歩する。
俺が担当してた2年も、
お母さんが入院してて、
大毅君の心は不安定やった。
それでも一生懸命、お父さんと2人で保育所に来てて、
その2年で俺にも懐いてくれて。
普段は元気いっぱいやのに、
静かに堪えて泣く姿に胸が締め付けられる。
こんなに小さい体で抱え込んでる物が大きすぎる。
と、そこにまたもやSOS。
｢智洋君が、｣
｢あー、2人のこと別室で見るわ｣
これ以上、先生を増やすことが難しい。
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作者名：ななはち
| 作成日時：2024年3月8日 19時
